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柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第89回

オンラインでも活況だった「Japan kintone Week」のセッションを紹介

Excel・紙業務からの脱却を図るJBCCの4つのkintone事例

2020年04月28日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第90回では、「Japan kintone Week」で紹介された、Excel・紙業務から脱却するための4つの事例を紹介する。

Excelからkintoneの標準機能に移行して業務を簡易にする

 4月8日~10日に開催予定だった展示会「Japan IT Week」が延期され、出展を予定していたサイボウズは「Japan kintone Week」を開催した。各種セッションをVimeoで配信するオンラインスタイルで、今回は9日の2回目に行われた「Excel・紙業務からの脱却で業務効率化を実現!」の様子を紹介しよう。

 お話をしてくれたのは、JBCC ビジネス・ソリューション事業部フォーカスソリューション推進部の宮田悠登氏。JBグループは2000人の社員からなるホールディングスの会社で、JBCCはその中核を担っている。今年で創業56年を迎える老舗で、ハードウェアやソフトウェア、開発サポート、導入支援などの業務を手がける総合SIerとして、国内52拠点、海外4拠点で、2万社以上のIT活用の支援を行なっている。

 宮田氏は同社での業務としてkintoneを軸としたサイボウズ製品に7年以上従事しており、日々顧客の課題解決に頭をひねっている。ビジネスの現場では、Excelや紙でデータを管理することで、さまざまな困りごとが発生している。そこで今回は、そんな課題を解決した4つの事例を紹介してくれた。

JBCC株式会社ビジネス・ソリューション事業部フォーカスソリューション推進部 宮田悠登氏

現場で見かけるよくある課題

 最初の事例は、石油や天然ガスを掘削している企業。海外に複数拠点を持っており、各拠点のデバイスやルーターをExcelで作った台帳で管理していた。IPアドレスやMacアドレスといった機器の情報とそこに紐付く情報としてリースの台帳もあった。そして利用申請は紙を利用していた。

 さらには、運用しているExcelにもマクロが組まれており、新人の担当者だとマクロを使えず、上長に相談するということもあった。この一連の業務を簡単にしたいという要望を受けて、課題解決を手伝うことになった。

 目的はリースの期日管理とリース台帳での機器管理をスムーズに管理すること。現状だと、リースの管理漏れが発生したり、リース会社が複数ある場合に台帳を探すのに手間取ると言った情報連携に課題があった。

複数Excelや紙の管理、期日の管理、マクロの属人化という課題があった

 そこで、kintoneを導入。今回は標準機能のみで対応することになった。まずは、「デバイス管理」アプリを作成し、リース台帳は会社によって分けて紐付けた。売買契約のナンバーをキーマスターとして、両アプリのナンバーが合致したら、関連レコード機能を使って情報を表示するようにした。

 リース台帳には契約満了日などの細かな情報を入れており、kintoneのリマインド機能を使って、リース期日の1ヵ月前などに通知し、期日管理を漏れなくできるようにした。

 また、コメント機能を使ってコミュニケーションにも活用した。データを中心として、部内の連絡に活用し、生産性を向上した。

「Excelとの最大の違いで喜ばれた部分は、添付ファイルのフィールドを設置できる点です。手続きで使ったデータも一緒に管理できるので、見積とか注文書のFAXなどをデータとしてkintoneに残しておけるようになりました」(宮田氏)

デバイスの管理とリース台帳を関連付けたうえ、期日管理やコミュニケーションにも活用した

プラグインを使用し、業務タスクを管理

 2つ目は、不動産系の建物を建てる会社で、そこの運用企画部から依頼を受け、プラグインを使って、業務のタスクを管理するアプリを作った事例。

 その会社では、基幹会計システムからCSVでデータをダウンロードし、足りない情報を部分的に補足したり、部門ごとにタスクを管理するなど、Excelファイルが散乱していた。そして、営業事務の人がそれらを見ながら対応漏れや建物を建てるときに必要な書類の提出期日の管理をしていた。そのタスクを管理するため、メールと電話の嵐になっているという課題があった。

 kintoneアプリでの解決を提案したところ、事務担当の人が利用するので、Excelのユーザーインターフェースを変えたくない、という要望を受けた。

基幹システムから吐き出したファイルが散乱し、管理に手間がかかっていた

 そこで「施行管理マスター」アプリを作り、タスクごとにアプリを作成。同じデータを同時に編集することが多いので、あえてタスク項目ごとにアプリを分けて作った。そして、データは後で統合するという設計にした。

 次回行動日をkintoneの通知機能で自動リマインドし、kintoneのトップページに通知するようにした。インターゲースに関しては、グレープシティの「krewSheet」プラグインを導入した。見た目がExcelのようになるうえ、セルを色づけして、タスク管理も行った。

「kintoneのタスクを分けた部分に関しては、これもグレープシティさんの「krewData」を使って1日2回、マスターアプリにデータを集約して統合しています。今後は、基幹システムからCSVを抜いて手で入れていた部分を自動化し、生産性を上げられないかと相談をいただいています」(宮田氏)

krewSheetで見た目をExcelライクにして、krewDataでデータの統合処理を行っている

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