AvagoからBroadcom Ltd.に社名変更
親会社だったAgilentの売上を抜く
Avagoが変貌したのは2015年である。5月28日、同社はBroadcom Corporationの買収を発表する。買収金額は370億ドル。うち170億ドルが現金、200億ドルが株式交換による。
買収は2016年に完了したが、認知度を考えてか買収後の社名はBroadcom(ただしBroadcom Ltd.)としたが、この買収により2016年の売上は倍増した。2010~2019年までの業績を下表にまとめたが、2015年からとんでもない数字になっているのがわかる。
2010~2019年までの業績(単位:ドル) | |||
---|---|---|---|
年度 | 売上 | 営業利益 | 純利益 |
2010 | 20億9300万 | 4億6600万 | 4億1500万 |
2011 | 23億3600万 | 5億8400万 | 5億5200万 |
2012 | 23億6400万 | 5億8200万 | 5億6300万 |
2013 | 25億2000万 | 5億5200万 | 5億5200万 |
2014 | 42億6900万 | 4億3800万 | 2億6300万 |
2015 | 68億2400万 | 16億3200万 | 13億6400万 |
2016 | 132億4000万 | -4億900万 | -18億6100万 |
2017 | 176億3600万 | 23億8300万 | 17億8400万 |
2018 | 208億4800万 | 51億3500万 | 126億1000万 |
2019 | 225億9700万 | 34億4400万 | 27億2400万 |
そしてBroadcomの買収の後は、積極的にM&Aを仕掛けるというかつてのBroadcomと同じ路線に突き進む。同じ2015年にはEmulex(2009年にも旧Broacomから買収提案を受けていた)、2016年にはBrocade Communication Systemsを買収、2017年にはQualcommへの買収提案を行なっている。
2017年11月には総額1300億ドルもの提案を行ない、2018年までもつれにもつれたこの買収、最終的にはトランプ大統領により買収禁止の大統領令が出てご破算になったが、そのご破算の直後に同社は189億ドルでCA Technologiesの買収を発表する。
2019年には107億ドルの現金でSymantecからエンタープライズ向けセキュリティービジネスの買収を発表している。
こうした企業買収により、売上は大幅に伸びており、もはや親会社だったAgilentをとっくに抜いて、旧親会社だったHPEに近いところに達している。
ただQualcommの買収を言い出したあたりから、同社のフォーカスエリアは創業時のAvagoのビジネスから次第に外れ始めた感がある。
CA TechnologyとかSymantecのEnterprise Securityは完全にソフトウェアソリューションであって、実際2019年の年次報告によれば同社のビジネスは半導体ソリューションとインフラ向けソフトウェア、それとIPライセンスであると明言されている。
その一方で、旧Broadcomの膨大な製品ポートフォリオが、次第に生産中止やサポート終了になるなど、半導体部門への関わり合いが次第に減りつつあるように思われる。この先Tan氏がどこにAvagoというかBroadcomを導こうとしているのか、わかっているのはTan氏だけという気がする。
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