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「起業家教育」中小企業庁前田泰宏長官×ビジョナルCEO南壮一郎氏対談

社会に出てからも起業家精神を持っていることは強みになる

2020年03月24日 11時00分更新

文● 相川いずみ/編集● 村野晃一(ASCII編集部)

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チャレンジ精神を養い、
将来を考えるきっかけづくりの「起業家教育」

 中小企業庁が推進する高校生向けの「起業家教育」は、起業のプロセスを体験することで、チャレンジ精神や創造性を養い、さらには将来の生き方を考えるきっかけをつくることを目的としている。

 2019年7月から実施されていた「令和元年度起業家教育事業」では、全国の5校の高等学校で地域の課題解決などのトライアルを行い、「起業家マインドの醸成」や「起業家教育ネットワークの構築」を養うことを目指した。さらに、「起業家教育標準カリキュラム」が今春公開される予定となっている。

 それに先立ち、起業家教育の背景から「人生100年時代」の働き方と学び方までを、2人のキーパーソンに語っていただいた。

経済産業省 中小企業 庁長官
前田泰宏 氏

Profile 東京大学法学部卒業後、通商産業省(現 経済産業省)に入省。以後、情報関連部門中心に産業政策などを担い、内閣官房長官秘書官や商務情報政策局担当審議官などを歴任。2018年、中小企業庁次長を経て、2019年、中小企業庁 長官に着任。

ビジョナル株式会社
代表取締役社長
南壮一郎 氏

Profile
 モルガン・スタンレーを経て、2004年から楽天イーグルスの創業に参画。2009年に株式会社ビズリーチを起業。その後も数々の新規事業を立ち上げ、2020年、グループ経営組織へ移行。ホールディングカンパニーであるビジョナル株式会社代表に。

50歳からもう一度義務教育を

――今回、起業家代表としてお話いただく南さんは、今年2月にビジョナルを起ち上げられたばかりですが、これまでの経歴からお話いただけますか。

南壮一郎氏(以下、南):私は6歳から中学生までカナダで育ち、その後静岡に帰国してアメリカの大学へ進学したという、起業家としては比較的ユニークな学生時代を送りました。

 前職では、楽天イーグルスという球団の起ち上げに携わっており、宮城県の古い県営球場から球団づくりをスタートしました。毎年、仙台の街が球団の赤いチームカラーに染まっていき、球団の存在が震災復興のひとつの旗印にもなったことは、「地域に愛される球団をつくり、地域を元気にする」という目的にも適っていました。これらの経験は、「事業を通じて世の中は変えられる」という原体験でもあります。

 そして、今から10年ほど前から、私は日本の働き方を変えたいと考えるようになりました。「人生100年時代」といわれる現在、日本の優秀なビジネスパーソンに対して仕事の選択肢の幅をどうやって広げたらいいかと考え、仕事を探す個人と人材を探す企業のニーズを可視化し、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を起ち上げました。

 今後は、新しい技術を使って生産性を向上していくことをひとつの軸に、色々な産業に参入していきます。いわば会社自体が"連続起業家"のようなもので、各領域の課題をみつけて、古いものをトランスフォーメーションして、新しいものにしていきたいというのが、現在43歳である私の仕事の仕方ですね。

前田泰宏氏(以下、前田): 南さんは43歳なんですね。私は、日本人は50歳ぐらいでもう一度義務教育をすべきだと考えています。社会も大きく変わっていくなか、社会人であってももう一度学び直す必要があるのではないかと思いますね。

南:定年を40歳にして、もう一度まわすこともありですね。これまで日本は定年まで一社で働き続けることが多かったので、学び直す機会がなかなかありませんでした。そこが、日本の生涯教育の比率の低さにつながってきていると考えています。海外では40代で起業している方がたくさんいますし、何歳でもチャレンジして戻ってくればいいと思います。

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