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史上初、5億光年彼方の電波バーストに16日の周期性を発見

2020年02月12日 07時36分更新

文● Neel V. Patel

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NASA / Swift / Aurore Simonnet, Sonoma State University

16日間の周期性をもって発生する高速電波バースト(FRB)が発見された。宇宙から到達する謎に満ちた現象である高速電波バーストから一定のパターンが確認されたのは、これが初めてだ。

高速電波バーストは非常に強力な電波がほんの数ミリ秒間にわたって放射される現象である。これらの突発的に起こる放射の発生源は天文学者にとって全くの謎であり、これまでに検出された数百件の高速電波バーストのうち、実際に発生源が突き止められたのはわずか5件だけだ。これらのバーストを引き起こす事象が何であれ、それは太陽の数万倍以上のエネルギーを生成している。ほとんどの高速電波バーストは1回限りであるが、複数回にわたって検出されているものもいくつかあり、その理由も解明されていない。科学者たちの間では、宇宙での天体同士の衝突、恒星の爆発、強い磁気を帯びた中性子星、高度な知性を有する地球外生物の存在(これについては後述する)などさまざまな仮説が挙げられているが、諸説紛々としている。

今回周期性が確認された高速電波バーストは、FRB180916.J0158+65と呼ばれ、2018年9月16日に初めて検出されて以来、反復的に発生している。同バーストの発生源と見られる 5億光年彼方の巨大な星を形成する渦巻銀河は、重金属を多く含み、磁力が弱い。

FRB 180916.J0I158 + 65が最初に発見されたのを受け、カナダのブリティッシュコロンビア州にある「カナダ水素強度マッピング実験望遠鏡(CHIME)」は13カ月におよぶ追跡観測を開始し、さらに28のバーストを検出した。これらのバーストは4日間にわたって発生し(その期間中に複数のバーストがあることもあれば、バーストがないこともある)、その後12日間何もない状態が続く。このことは、高速電波バーストの発生源が通常16日間周期で放射活動をしていることを示している。この発見は、最近アーカイブ(arXiv)にアップロードされた新しい論文で報告された。

FRB 180916.J0I158 + 65の高速電波バーストは全体的に16日間周期で発生しているものの、4日間の間でもバーストが全くなかったり、複数回あったりというように変動している。この事実から、高速電波バーストの放出源となるものが、低質量ブラックホールなど何らかの種類の巨大な天体の周りの軌道を周回しており、おそらくその軌道周期に基づいてバーストが誘発されたり、遮蔽されたりしているものと思われる。はるかに大きな質量の中性子星を持つ連星がこの高速電波バーストを生成しているのではないかとする別の研究もある。

宇宙人の仕業ではないか? と考える人もいるかもしれないが、それはほぼ確実に違う。このバーストは、宇宙における極端に壮大な規模で起きているエネルギー現象を示すものである。高度に知的な種族であってもこれほどのエネルギーを生成できる可能性はほとんどないだろう。また、意識的な操作を窺わせるパターンは、これまでのところ検出されていない。

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