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ボイジャー2号で原因不明の電力不足、NASAが復旧作業中

2020年02月02日 09時02分更新

文● Neel V. Patel

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NASA

あまりにも多くの電力を消費していたため、無人宇宙探査機「ボイジャー(Voyager)2号」のソフトウェアは1月25日、搭載している5つの科学機器すべての電源をオフにしていた。ボイジャー2号は2018年11月に太陽圏を離脱し、現在、恒星間空間を航行している。米国航空宇宙局(NASA)のエンジニアによると、なぜ消費電力が急増したのかは分かっておらず、同探査機を通常運転に戻すための作業に現在取り組んでいる。 

地球から約185億キロメートル離れた場所で、ボイジャー2号は、(磁場測定に用いる)磁力計を較正するため機体を360度回転させる予定になっていた。しかし同探査機は、未知の理由によりこの動作の実行を遅らせた。そのため、他の2つの内部システムが、大量の電力を消費しながら動作し続けてしまった。その結果生じた電力不足を補うため、ボイジャー2号に搭載されていたソフトウェアは、作動していた5つの科学機器の電源を落としてしまった。

NASAのエンジニアたちは消費電力の大きい内部システムの1つの電源をオフにし、科学機器の電源を入れ直した。だが、ボイジャー2号は依然として通常運転の状態に戻っておらず、今のところ新しいデータは一切得られていない。

ボイジャー2号は1977年に打ち上げられ、本来の任務期間は当初5年間の予定だった。2018年にボイジャー2号は正式に太陽系を離脱した。打ち上げから42年間にわたって同探査機を正常に動作させ続けるために、NASAは搭載機器およびヒーターの消費電力を慎重に管理する必要があった。ボイジャー1号と2号の電力効率は、過去10年間で40%低下している。

ボイジャー2号は「放射性同位体熱電気転換器(RTG)」から電力を得ている。プルトニウム238が崩壊する際に発生する熱を、RTGが同探査機の電力に変換する。 

地球とボイジャー2号間のデータ通信には17時間かかる。この時間差により、同探査機の不具合が解決するまで数日かかる。しかし、実際のところ、プルトニウム238が搭載機器に電力を供給するのに十分な熱を生み出せなくなるまで、RTGに残された寿命はあと5年間と見込まれている。いずれにせよ、ボイジャー2号が有終の美を飾ろうとしていることには変わりないだろう 

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