ベスト16のトーナメントで波乱が!
こうして行なわれた16名の選手による追走トーナメント。そのベスト16戦で波乱が起こります。まず小橋選手のマシンが、後追い走行中に駆動系が壊れてしまいリタイア。さらに横井選手がアンダーステアを出してしまい大きく減点して敗退。
そして川畑選手は、マシンが本調子ではなくコースアウトしてしまい姿を消してしまいました。
結果としてベスト16を勝ち残った日本人選手は、松井選手と藤野選手の2名だけ。両選手はベスト8戦も順当に勝ち上がり、準決勝へコマを進めます。藤野選手の相手は、フォーミュラ・ドリフト・ジャパンの4タイムスチャンピオンであるアンドリュー・グレイ選手。1本め後追いの藤野選手は、1コーナーでものすごい寄せを見せます。2本目は先行する藤野選手が引き離して見事勝利。
松井選手とゴーチャ選手の闘いは、1回の勝負では決着が着かず再戦に。ですが松井選手の善戦もむなしく、ゴーチャ選手の勝利。
陽が傾く中で争われた藤野選手とゴーチャ選手による決勝戦。そのスタート前、ゴーチャ選手はマシンに違和感を覚えたようで、緊急マシンチェック。不安要素を残したまま、闘いの火蓋が切って落とされました。ゴーチャ選手先行の1本目、スタート直後のメインストレート上で藤野選手がマシンを止めてしまいます。
あまりのことに、誰もがその光景に目を疑います。場内実況もあまりのことに混乱。美環さんも「何っすか? フライングスタートとかっすか?」と困惑の様子です。ですが、藤野選手のマシンは駆動系が壊れて自走することができず、牽引車で引かれる藤野選手の180SX。
ここで勝負が決まり、ゴーチャ選手の2連覇で終わりました。ウイニングランをするゴーチャ選手ですが、そのマシンも途中でストップ。どちらが先に壊れてもおかしくない、そんな状況でした。
ゴーチャ選手は喜びを現すとともに、準決勝での松井選手のファイトを称賛。藤野選手は「世界一を決める大会ですから、日を改めて対戦するとかあればいいんですけれどね(笑)。これもまた勝負ですからね。問題はどうやって車を持って帰ろうかということで、だって動かなくなっちゃいましたから」と残念な表情を見せながらも、ユーモアのある答えをしていました。
「戦わずしてチャンピオンが決まっちゃいましたね。残念ですけれど、これもまたレースなんですね。皆さん本当に凄いファイトで楽しかったです。また、ドリフトを観に行きたいです」とは美環さん。こうして筑波サーキットとしては初となるドリフト世界一決定戦は終わりました。
来年20周年を迎えるD1グランプリ。その開幕戦は2020年4月25~26日、D1グランプリ発祥の地である福島県・エビスサーキットで開催されます。