IntelのHEDT向けCPU「Core X」シリーズの新モデル(開発コードネーム:Cascade Lake-X)の国内販売価格と、一部モデルについての発売日が判明した。現在、Cascade Lake-X世代のCore XシリーズはCore i9-10980XE Extreme Edition(以下、Core i9-10980XE)、Core i9-10940X、Core i9-10920X、Core i9-10900Xの4モデルをラインアップする。
今回わかった国内予価は、Core i9-10980XEが13万8000円前後(税込)、Core i9-10940Xが10万8000円前後(税込)、Core i9-10920Xが9万9000円前後(税込)、Core i9-10900Xが8万6600円前後(税込)となる。
新旧Core Xシリーズの価格比較 | ||
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型番 | 国内初出価格(税込) | コアあたりの単価 |
Core i9-10980XE(18C/36T) | 13万8000円 | 約7667円 |
Core i9-9980XE(18C/36T) | 25万1980円 | 約1万3999円 |
Core i9-10940X(14C/28T) | 10万8000円 | 約7714円 |
Core i9-9940X(14C/28T) | 17万5980円 | 約1万2570円 |
Core i9-10920X(12C/24T) | 9万9000円 | 約8250円 |
Core i9-9920X(12C/24T) | 15万480円 | 約1万2540円 |
Core i9-10900X(10C/20T) | 8万6000円 | 約8600円 |
Core i9-9900X(10C/20T) | 12万5906円 | 約1万2591円 |
前世代となるSkylake-X Refreshの最上位だった「Core i9-9980XE」の初出価格が25万1980円だったことと、消費税が10%にアップしていることを考えると、「前世代の半額」は本当だったと言える。
興味深いのは、前世代のコア単価は下のモデルほど安い傾向にあったのが、Cascade Lake-X世代では最上位が最も安い点。ちなみに、前世代も10月中旬から半額以下に値下がりし、すでに市場在庫はかなり少ない状態だ。
発売日時は11/26(金)の16時からで、Core i9-10980XEとCore i9-10900Xのみの販売となる見込み。なお、初回在庫はごく少数となっており、順次店頭販売を開始する予定だ。また、ほかのモデルも順次展開予定となる。
Core 2 Quad価格改定時と異なる「半額化」
ハイエンドクラスのCPUを半額で販売する戦略となると、思い出されるのは2007年の「Core 2 Quad Q6600」だ。当時、まだ4コアCPUがハイエンド向けとされており、メインストリーム市場では2コアが一般的だった。それが同CPUの価格改定で、一気に普及。その勢いのまま、Intelは現在でも続くCoreプロセッサーシリーズを展開。そこから10年間もの間、デスクトップPC向け市場で圧倒的シェアを獲得するに至った。
当時もAMDと壮絶なマルチコア化戦争の真っ最中だったが、思い返してみれば決め手はこの「半額化」だったように思う。しかし、現在と当時では事情が異なる。プロセスの微細化で出遅れたIntelの今回の半額化は、まだ市場の趨勢が決まる前の「攻めの一手」ではなく、劣勢を予測した上での「守りの一手」のように見えるのだ。
実際のところ、クリエイティブ系のPCではIntel人気は依然として高い。ソフトウェアの最適化などのエコシステムを含めた、同社が築いてきた10年間のアドバンテージはたやすく崩れ去るものではない。ノートPC向けCPUではいまだ圧倒的シェアがある。しかしながら、2017年にRyzenが登場するまでのIntelはライバル不在で、目の覚めるようなデスクトップPC向けCPUを毎年出していたかと問われれば、答えは否だ。
舞台裏の真実はわからないにせよ、市場からは今回の「半額化」をライバルの復活に慌てて準備したIntel、と見えても不思議ではない。今後、デスクトップPC向け市場のシェア争いはさらに激化するだろう。コア単価はさらに安くなるはずだ。なんにしても競争なき市場は停滞するので、いちユーザーとしても、PC系メディアの人間としても、熾烈な争いは歓迎したい限りである。