製品とサポートで先手を打つ
具体的な事例として、アジアにおける2つの取り組みを示す。ひとつは、製品による先手だ。
「アジア市場は電力事情が悪く、電気代が高い。購入者は少し高価でも、ランニングコストが安い製品をほしがる。そこでダイキンは、省電力化に効果が高いインバータ製品を投入し、この領域の市場を先行して作った。韓国メーカーや中国メーカーが太刀打ちできない領域を作った」とする。
さらに「あわせて低価格のノンインバータの市場も、儲からないが、市場を荒らされないようにするために抑えた。これによって、アジアの主要各国において、売上げナンバーワンの地位を盤石なものにしている」と語る。
この上期はベトナムやタイでは、冷房専用インバータ機を販売。インドでは50度超の気温でも冷房できるエアコンを販売した。また、環境負荷の小さいR32を採用したルームエアコンをはじめとして、地域のニーズを捉えた新製品を投入したことが、成果につながっている。
もうひとつが、工事やサポート体制における先手だ。
「エアコンの販売は、設置工事力が重要な鍵になる。そこで、専門店網を作り、工事や据え付け、アフターサービスを担う人材を急ピッチで育成した。住宅用では設置工事、業務用では配管を溶接するといった作業が発生する。だが、それらの作業をできる人が少なく、指導できる人もいない。
とくに、配管のジョイントでガス漏れが発生するようなことが起こってはいけない。いかに早く先手を打って囲い込むことができるかが差別化につながる。ライバルに先んじて教育をして、人材を確保することで、一歩も、二歩もリードすることができた」とする。
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