CEATEC 2019レポート 第2回
アジア最大級のIT技術とエレクトロニクスの国際展示会
CEATEC 2019で5G社会を先取り体験、注目スタートアップから大手の新事業まで
2019年10月17日 18時00分更新
IoT注力の姿勢を見せるマイクロソフト
IT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC 2019」が10月15日から始まった。
主催のCEATEC実施協議会ではCEATEC 2019の開催趣旨を「あらゆる産業・業種による『CPS/IoT』と『共創』をテーマとしたビジネス創出のための、人と技術・情報が一堂に会する場とし、経済発展と社会的課題の解決を両立する『超スマート社会(Society 5.0)』の実現を目指す」としている。
日本マイクロソフトは、同社のエコシステムを活用した製品を提供する、パートナー企業のソリューションを紹介。
コンテックによるコインランドリーのIoTサービス、ぷらっとホームが提供する牛の行動管理ソリューション「ルミログ」など、多様な生活環境における課題を、IoTで解決するソリューションが注目されていた。
マイクロソフトはCEATEC内で開催された基調講演で、Windows for IoTによって、デバイス開発者がスマートで安全なIoTデバイスによるデジタルトランスフォーメーションを提供していけるよう支援する姿勢を発表しており、今後もこうしたソリューションが登場することが予測される。
未来の街を先取り、ANAの「avatar-in」
大手企業の新発表が楽しめるのも、CEATECの魅力。ANAホールディングスは、イベント内でアバターサービスを提供するためのプラットフォームとなる「avatar-in(アバターイン)」を発表した。
「newme」と呼ばれる端末に、「avatar-in」を通じて「アバターイン」することで、自宅にいながらショッピングを楽しんだり、役所に昼間訪れたり、病院のベッドから水族館を見学したり、海外の方が日本のスポーツを観戦したりといったサービスを受けられるようになるプラットフォーム。
自治体としては東京都、大分県、沖縄県、香川県加賀市がパートナーとなることが明かされたほか、三井不動産、森ビル、三菱地所といったディベロッパー、通信会社ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社が協業する。
普及すれば、生活が大きく変わるかもしれない。newmeはCEATECの会場に何台も動き回っており、来場者は、動いている様子をいち早く楽しめた。
スタートアップのIoTもすごい! 自動タンス「INDONE」
ゼロイチ開発(ゼロからイチを作る開発)をウリにするIoT・ロボット開発のスタートアップ企業、ASTINAのブースでは、IoTタンス「INDONE」のプロト機を展示。同社の開発者がソフトとハードの開発に使用しているものだ。INDONEは、衣類カゴ部分に選択した衣類を入れると、自動で、Tシャツや長袖シャツ、下着といったジャンル別に衣類を仕分けし、畳んで、引き出しに収納してくれるという製品。
取材時は調整中のため、残念ながら稼働している様子は見られなかったのだが、会期中にはデモが実施されるとのこと。
これからの活躍が期待される技術たち
科学技術振興機構のブースでは、同法人のかかわる大学発スタートアップ、大学、大学院の、研究成果や製品を紹介。
アクセルスペースは、超小型人工衛星を活用した宇宙ビジネスを展開するベンチャー企業。東京大学・東京工業大学で生まれた超小型衛星技術をコア技術として、2008年に創業した企業だ。
2018年には最初の打ち上げに成功しており、現在も実用化に向けた動きを進めている。2022年には「地球表面のうち、人間が活動するおよそ半分のエリアの撮影を1日1回撮影する」システムが完成予定とのこと。ブースには人工衛星の50%スケールモデルも展示され、新時代のインフラを作る企業として注目を集めた。
Jijは、科学技術振興機構による大学発新産業創出プログラムの2017年度採択プロジェクト 「量子アニーリングで加速する最適化技術の実用化」の成果として設立されたスタートアップ企業。
この日は「渋滞を量子アニーリングで緩和する」をテーマに、東京駅から国立競技場までの道のりを100台の車が走ることを想定したデモを実施していた。
100台の車を人が運転すれば、大部分の車が幹線道路を目指し、結果的に渋滞が起きてしまう。デモでは、一部の車が幹線道路へ、多くの車は待機したり、横道をうまく使って目的地へ移動したりすることで、渋滞なくすべての車が目的地へ向かう様子が見られた。
フューチャースタンダードのブースでは「SCORER」というソリューションを展示。カメラや映像に関する最新技術をブロックのように組み合わせることで、映像解析AIを活用したシステム開発を早く安価にできるというものだ。
顔認証のデモを体験させてもらったが、顔を登録して、わずか数秒後にはカメラで自分の顔が認識されていた。担当者は「例えば、社員の顔を事前に登録しておき、オフィスに誰がいるかを自動で把握するシステムを作るといったことに役立てられます」と話した。
老舗ガラスメーカーの美しいガラスたち
老舗メーカーの技術力を間近に体感できるのもCEATECの特徴のひとつ。1935年創業の光学ガラスメーカーであるオハラは、同社の製造するガラスのモデルを多数展示した。
光学ガラス業界トップシェアをうたう同社は、カメラレンズ素材をはじめとしたさまざまな光学機器、デジタル関連機器向けのガラスを開発、製造している。
人工石英による透明度の高いガラスや、車載カメラ向けのレンズなど、単に眺めているだけでも楽しいが、担当者によれば、スマートフォンの5G化により、電波を通しやすいガラス製筐体の需要が拡大することが見込まれるのだという。
ブースに立つ担当者はみな業界のスペシャリスト。興味のあるブースに立ち寄って話を聞くだけで、見聞が広げられるだろう。CEATEC 2019は幕張メッセで18日まで開催中。IT、エレクトロニクスにかかわる人だけでなく、技術に興味がある人はぜひ来場してほしい。
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