ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第530回
HP 9000シリーズでワークステーションのシェアを獲得したHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー
2019年09月30日 12時00分更新
HP Pro-BASICとPASCALが動く電卓
HP 9000/200シリーズ
HP 9845の延長として、内蔵するCPUを8MHzのMC68000に切り替えたのが1982年11月にリリースされたのがHP 9816だ。HP Pro-BASICとPASCALが動くほか、CP/M 68Kも動作したそうで、もう完全にPCという体裁になっている。
画像の出典は、HP Computer Museum
もっとも傍から見れば延長であるが、HP 9845シリーズはCalculator Products Division、HP 9816はDesktop Computer Divisionと事業部が異なるあたり、Desktop Computer DivisionがHP 9845シリーズのパイを奪うべくHP 9816を投入したという風にも見えるのだが、そのあたりの詳細は不明である。
ただHP 9816シリーズの投入はHP 9845シリーズの売上に大きな影響を与え、結果として1984年にHP 9845Cは生産中止に追い込まれているのは事実だ。
このHP 9816のラックマウントタイプであるHP 9920、ディスプレー一体型としたHP 9826と続き、1983年にはHP 9816のメモリーを2.5MBまで拡充可能にしたHP 9836がリリースされる。
画像の出典は、The Centre for Computing History
画像の出典は、The Centre for Computing History
このHP 9836の登場後に、HPはブランド変更を決定。HP 9816シリーズはHP 9000/200シリーズと改称されることになった。
HP 9000シリーズとしてもHP-UXが動かない(仮想記憶の実装が難しい)という問題はあったのだが、後期モデルのHP 9836U(HP 9000/236U)ではCPUを仮想記憶に対応したMC68010に切り替え、HP-UXを動作可能にしている。
そして1985年以降は、こちらもラインナップを若干増やしつつ、HP 9000/300シリーズとあわせてローエンド向けと組み込み向けの市場に多く利用された。このHP 9000/200シリーズも、300シリーズとあわせてHPのワークステーション市場でのシェア確立に貢献したと言える。

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