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第3世代Ryzen+X570で2.4Gbps接続したWi-Fi 6の実効速度を測ってみた

2019年10月13日 15時15分更新

文● 宮里圭介 編集● ジサトラハッチ

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有線・Wi-Fiを交え5つのパターンで速度を計測

 せっかく5GHz帯のWi-Fiが2バンド使えるルーターを使用しているので、有線LANも含め、5つの経路パターンで試してみた。

PCとルーターの接続は、Wi-Fi(5GHz)×2、2.5Gbps有線LAN、1Gbpsの有線LANの大きく3つ。これらを組み合わせ、5つの経路パターンを試した。

 実際のテストは、フォルダー共有用PCが共通で、X570を搭載した速度計測用PC 1、X470を搭載した速度計測用PC 2と組み合わせることで、2組5パターン、10のテストを行なった。それぞれのテスト概要と、その結果は以下の通りだ。

1.2台のPCを異なるバンドにWi-Fiで接続
 2台ともWi-Fiを使った場合の最大速度をいくつか測るために実施。5GHz帯を2バンド使える「ROG Rapture GT-AX11000」だからこそできる設定だ。電波環境によって速度が左右されてしまうものの、大きなボトルネックとなる部分はない。

 各PCでバンドの帯域を占有できることもあり、Wi-Fi 6では1Gbpsを超える実速度をマーク。Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)では約600Mbpsとほぼ半分の速度となっていた。理想的な状況での速度比較になるが、ここまでの速度差があるとなると、X570世代でWi-Fi 6を使わないのはもったいなく感じてしまう。

2.2台のPCを同じバンドにWi-Fiで接続
 通常のWi-Fiルーターでは複数のバンドを使えることがないため、一般的な環境を考えた場合のテストとなる。1つのバンドを2台のPCで共有するため、多少速度が落ちてしまう可能性がある。

 1つのバンドを共有するため、テスト1と比べ速度は大きく低下。とくにWi-Fi 6では約590~700Mbpsと激減してしまっていた。とはいえ、Wi-Fi 5の約420Mbpsと比べればまだまだ高速だ。バンドを共有する場合でも、Wi-Fi 6の優位性がしっかりと出ている結果となった。

3.フォルダー共有したPCは2.5Gbps有線LAN、もう1台はWi-Fi接続
 片方を有線LAN、もう片方をWi-Fiとした構成がこれだ。今回試した構成ではWi-Fi 6の最大リンク速度は2.4Gbps、Wi-Fi 5の最大リンク速度は867Mbpsとなるため、有線LANがボトルネックとならない。

 フォルダー共有PCがボトルネックとならない2.5Gbpsの有線LANとなるため、リード速度は約1400Mbpsと今回テストした中で最も高速となった。気になったのが、ライト速度が何故か遅くなってしまっていたこと。速度としては1Gbpsの有線LANと同じとなっているだけに、PCのLANポートやケーブルに何か問題があった可能性もあるが、今回はWi-Fiのテストがメインということで深く追求しなかった。

4.フォルダー共有したPCは1Gbps有線LAN、もう1台はWi-Fi接続
 片方が有線LAN、もう片方がWi-Fiというのは同じだが、有線LANが1GbpsとなるためWi-Fi 6の2.4Gbpsに対してはボトルネックとなる可能性がある。2.5Gbpsを搭載しないPCとの通信速度例として計測した。

 有線LAN側を2.5Gbpsから1Gbpsと落としたため、テスト3と比べWi-Fi 6でのリード性能も落ちている。明らかに有線LANがボトルネックとなっているのがわかる結果だ。Wi-Fi 5はリンク速度が867Mbpsであり、有線LANの1Gbpsのほうが速く、ボトルネックとならない。そのため、テスト3とほぼ同じ結果となった。

5.フォルダー共有したPCは2.5Gbps有線LAN、もう1台は1Gbps有線LAN
 これはついでとなるが、片方が2.5Gbpsの有線LAN、もう片方が1Gbpsの有線LANとしたもの。1Gbpsの有線LAN実効速度を調べるためにテストに加えた。

 最後は有線LANでの速度だ。片方が2.5Gbpsになっているとはいえ、通信相手が1Gbpsであればそれ以上の速度は出ない。PCの有線LANが2.5Gbpsや10Gbpsになったとしても、その経路となるルーターやスイッチが1Gbpsまでしか対応していなければ、この速度しか出ないわけだ。

Wi-Fi利用時のping応答速度は平均2msと十分速い

 Wi-Fiは応答速度が遅いので有線LANに比べて不利になるとよく言われるため、ルーター内ローカルでのping応答時間もチェックしてみた。

 20回ぶんのping応答時間を平均してみたところ、有線LANで接続したPCとWi-Fi 6で接続したPC間のping応答時間は平均2msで最大6msとなっていた。また、どちらのPCも有線LANで接続した場合は平均0msで最大1ms、どちらのPCもWi-Fi 6で接続した場合は平均3msで最大8msとなった。

 Wi-Fi接続では有線LANと比べ確実に応答速度は遅くなっているといえるが、その差は平均で2~3msと非常に小さいものだった。外部サーバーの応答時間はインターネット接続環境による遅延の影響が大きく、サーバーによっては数十msかかることも珍しくないだけに、誤差の範囲といえるだろう。Wi-Fiだから特別遅く感じる、というほどの差はない。

 ちなみにWi-Fi 5の場合でも試してみたが、片方がWi-Fi 5の場合は平均1msで最大3ms、両方Wi-Fi 5の場合でも平均4msで最大11msであり、Wi-Fi 6と比べても明確な差はなかった。

Wi-Fi 6が圧倒的に高速! 2バンド利用時は1Gbps超えが当たり前の結果に

 実際の速度は電波環境やルーター・PCの性能などにも大きく左右されるが、今回テストした環境であれば、最大でWi-Fi 6(2.4Gbps)の実効速度はWi-Fi 5(867Mbps)の2倍近く、1Gbpsを余裕で超える速度が出ることが分かった。

 AMDのRyzenは多コア化によるマルチスレッド性能の高さや、Zen2アーキテクチャーによるシングルスレッド性能の向上が注目されがちだが、最近では一般家庭向けでも1Gbpsを超える光接続サービスが増えてきていることもあり、LANの通信速度がしっかり高速化されているかもPC選びのチェックポイントとなっている。

 将来、Wi-Fi 6や2.5Gbpsの有線LANなどでLAN環境を高速化したいと考えているのであれば、次に購入するPCからはこれらに最初から対応しているものを選んで準備しておきたい。

 もちろん、今すぐWi-Fi 6を導入したいという人にもオススメだ。まだまだWi-Fi 6対応ルーターの数は少ないものの、今回利用したASUSの「ROG Rapture GT-AX11000」、ネットギアの「Nighthawk AX」シリーズ、バッファローの「WXR-5950AX12」など、少しずつだがその数を増やしていっている。こういったルーターをPCと一緒に購入すれば、すぐにでもWi-Fi 6の高速無線通信が利用できる。

(提供:AMD)

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