スマート家電の頭脳がさらに賢くなる
LGエレクトロニクスも独自のAIアシスタント「ThinQ(シンキュー)」を搭載する白物家電をこの2~3年間で一気に増やした。カテゴリーの広さにかけては、恐らく他社の追随を許さないほどだ。スチームウォッシュ&ドライホームクリーニング機の「LG Styler」や昨年のIFAで発表したホーム用のクラフトビール製造器から、今年は天井に設置するプロペラサーキュレーターなどもThinQ対応のスマート家電として紹介されていた。
同社のAIプラットフォームであるThinQは、始まった当初から洗練されたインターフェースを構築することを目的としながら進化を遂げてきた。スマホから家電の動作状況を監視して、接続されている機器ごとに最適な機能が1つのアプリで統合的に管理ができる使い勝手の良さは秀逸だ。ThinQ搭載のスマート家電の大半は今ではGoogleアシスタントとアマゾンのAlexaによる音声操作にも対応している。
AIやアプリを含む多種多彩な機能を詰め込んでしまうと、マルチタスク処理に家電機器のブレーンが追い付けるのか気になるところだ。重い処理の負荷はクラウドにも分散させるとして、一方でLGエレクトロニクスは今後5G対応スマホの開発でも密接に手を取り合うクアルコムとの協業に力を入れることを、IFAのプレスカンファレンスで宣言した。具体的にはオンデバイスで高度な処理をする白物家電を実現するために、AI対応の高性能SoCを共同開発していくことをアナウンスしたのだ。
カンファレンスの壇上にはLGエレクトロニクスのプレジデント兼CTOであるI.P・Park博士が登壇し、LG Stylerの本体内部に装着して、ユーザーの衣類の種類や色をカメラで判別して最適なクリーニング方法を自動設定してくれる「VISION PACK」や、スマートミラーとして開発を進めている「LG ThinQ Fit」をコンセプトモデルとして披露した。
LGエレクトロニクスではSoCの高度化を徹底して突き詰めることによって、スマート家電ができることを増やし、ユーザーに操作の手間を煩わせないほど自律して考えながら、ユーザーの痒いところに自然と手を伸ばせる製品の開発に注力していく姿勢を明快に打ち出した。
現状の家電はスマート機能を内蔵していなくても、その多彩すぎる機能をユーザーが使いこなせていない現状がある。ボイスコントロールも含めたインターフェースの先鋭化と同時に、スマート家電の「頭脳」を徹底的に強化していくことで、「みんなが欲しかったスマート家電」を実現しようとする強い意志をPark博士のプレゼンテーションから感じ取ることができた。
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