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自治体では日本初となる秘密計算を用いた実証実験を実施

和歌山県とNTT Com、秘密計算で事業者間のデータ利活用を促進

2019年09月09日 16時15分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 2019年9月9日、和歌山県とNTTコミュニケーションズは秘密計算を用いた「データサイエンス分野における連携に関する協定」を締結した。秘密計算により、異なる事業者が保有するデータを秘匿化したまま統合・分析を行ない、結果のみを出力することが可能になる。本協定に基づき、両者は産業の活性化や社会課題の解決、データ利活用のための人材育成に関する実証実験を2019年に実施するという。

協定を締結したNTTコミュニケーションズ 西日本営業本部長 江村 俊英氏、和歌山県企画部長 田嶋 久嗣氏

事業者同士のデータの利活用にセキュリティの壁

 和歌山県は2016年に策定した「和歌山県データ利活用推進プラン」に基づき、産学官のデータ利活用を促進し、日本のデータの利活用の拠点となることを目指している。2018年4月には政府関係機関の地方移転の取り組みの一環として、総務省統計局・独立行政法人統計センターが所管する「統計データ利活用センター」が和歌山市内に開設された。また、和歌山県も「データ利活用推進センター」を設置し、産学官のデータ活用の推進、データサイエンス人材の育成などに取り組んでいる。

和歌山県が求める技術

 しかし、異なる事業者間のデータの利活用においては、暗号化されたデータをいったん平文に復号する必要がある。そのため、セキュリティリスクの観点から取り組みが進まなかったという。これに対して今回NTTコミュニケーションズが導入したのが、「相互に機密データを見ない・見せない」環境を構築するための秘密計算の技術になる。これにより、産学官の枠を超えたデータ利活用が推進するねらいがある。

 秘密計算とは、データを秘匿された状態で計算することを指す。あるデータを単独では意味をなさない無意味なデータに断片化させ、各サーバーに保存した上で計算結果を端末に復元することで、計算結果のみを得られる。異なる事業者が保有するデータを秘匿したまま、相互に統合・分析し、結果のみを出力できるという。

秘密計算の概要

秘密計算を用いた事業者間のデータ利活用や人材育成を促進

 今回、実証実験で採用されるのは世界最速レベルを謳うNTTの秘密計算システム「算師」。基本的な統計演算を提供しており、複数の演算を組み合わせることで、複雑な演算も可能になるという。また、演算機能以外にも管理やデータ操作機能も搭載しており、統計ソフトのRのインターフェイスから利用できる。複数の登録データを秘匿性したままの統合・結合する機能やユーザーごとのデータのアクセス権を管理できるマルチテナント対応を実現しており、保有者の異なるデータの安全な統合分析が行なえる。

NTTの秘密計算システム「算師」で可能な演算処理

 今回、和歌山県とNTTコミュニケーションズが締結した「データサイエンス分野における連携に関する協定」では、秘密計算技術の社会実装に向けた実証研究や民間企業データ、行政情報を融合した分析・研究のほか、民間企業のデータ利活用に関する取り組みへの参加促進、高度なデータ利活ができる地域の人材育成、協定の目的を達成するために必要な事項などが連携事項として含まれる。

 具体的には和歌山県のデータ利活用推進センターや実証実験に協力する事業者や大学に秘密計算専用の端末を設置し、NTTコミュニケーションズのクラウドサービスを通じて分析用データを提供。秘密計算を用いたデータの流通や分析における実証実験を整備する。また、和歌山県や事業者からデータを集積させ、社会実装モデルの構築を進めるとともに、大学におけるデータサイエンス分野の人材育成も進めるという。

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