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まだまだ出てくる、ここまでやるかというこだわりも

絶賛進化中、世界最小・最軽量の粒型完全ワイヤレスイヤホン「GRAIN」

2019年08月30日 15時00分更新

文● ASCII

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 先日インタビュー記事を掲載した、日本の技術を集めたからできた完全ワイヤレスイヤホン「GRAIN」。内容には大きな反響があった。

最新の試作機。まだLDSアンテナではないが、完全ワイヤレスイヤホンとして十分利用できる接続性と音質になっていた。

 現在、9月13日の締切に向けてGREEN FUNDINGで絶賛クラウドファンディング募集中だ。無事、1000万円の目標金額を達成し、販売開始のめどは立った。しかし、記事でも書いたように、非常に開発コストをかけた製品であるため、損益分岐にはまだまだ遠いとのこと。この点でも、非常にクレイジーな製品になっている。

 そんな岡田製作所が8月中旬に編集部にやってきて、GRAINの進捗状況を見せてくれた。写真とともにお伝えしよう。

GRAINは順調に進化

 前回の記事からの変更点だが、まずは音が完成系に近づいた。直径4mmのドライバーの音は、有線接続で体験済みだが、試作した完全ワイヤレス版でも音は出たものの万全ではなかった。まだ完成版ではないが、接着剤の使用方法などを変更し、ドライバー本来の音が出るようになった。製品版ではさらにこれをチューニングしてよりよいサウンドを目指すそうだ。

GRAINのために新開発したドライバー

 実際に音を聴いてみたが、中高域の抜けは非常によく、ボーカルなどの繊細なニュアンスなどもしっかりトレースする。低域の量感は大口径ドライバーに比べれば控えめであれば、十分に出ていて世界最小のドライバーを使っているとは思えないほどだ。日本の町工場で熟練した職人が手掛けるドライバーだが、その本領が十分に発揮されている。もちろん小型の本体は耳にもすっぽりと入り、装着しているのを忘れるほどの快適さ。これなら寝た状態など姿勢にとらわれず使えそうで、よりワイヤレスの自由さを感じられるだろう。

製品は最終的に写真のようなイメージになる。

 音響面では20Hz~20kHzの周波数をカバーし、小型の制約のある中で、高域と低域を出せる限界を攻めたという。音質については、この特性が7~8割を占める。岡田さんによるともうひとつ重要なのがイヤーチップだという。ユーザーはあまり意識しないが、密閉か開放かで求められる特性も異なってくる。

1組で万券が飛ぶ、イヤーチップとは?

 ちなみにGRAINに付属する「クリアシリコンイヤピース」はガラスレベルの透明さをアピールしている非常にコストを掛けたアクセサリーだ。これを実現するためには、クリーンルームが必要で、量産化した場合でも一般的なシリコンタイプのイヤーチップに比べて10倍近い差がある。さらに試作でワンオフ品を作ると「万券が飛ぶレベル」(岡田氏)とのことで、ここも驚かされる。1組作るのに2日間かかるそうだが、さらにアクリルの型を削り出して作る必要があるそうで、ここがコスト高になる理由だそうだ。

透明なイヤーチップは特徴のひとつだが、実はここにもあり得ないコストを掛けているとのこと。

 3Dプリンターで簡単に作れないのか? と聞いてみた。泡や積層面が入ってしまうことに加えて、イヤーチップ自体の厚さが均一ではなく、外側を薄くしているなど細かなこだわりがあるため、これに適したピッチ(解像度)のプリンターもないという。

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