ソフトバンクがバスケ国際試合で
5Gプレサービスを用いたAR/VR観戦体験を提供
ソフトバンクは、バスケットボール日本代表の強化試合「バスケットボール日本代表国際試合「International Basketball Games 2019」のさいたまスーパーアリーナで開催された8月22日からの5試合にて、5Gのプレサービスを実施。来場者に対して、新たなスポーツの観戦体験を提供した。
今回の5Gプレサービスの内容は、スタジアムやコートに設置したVR/ARカメラや自由視点カメラで撮影した映像を、会場内に構築した5Gネットワーク(3.5GHz帯、40MHz幅)を介してVRヘッドセットやARグラス、タブレットなどで見られるというもの。このほか、ソフトバンクのIoT技術を活用した展示も行なった。
今回の5Gプレサービスはフジロックフェスティバル'19に続く第2弾で、「バスケットも音楽も5Gならではの臨場感を、遠隔地でも味わっていただく(モバイルネットワーク本部長 野田真氏)」点に主眼を置いているとのこと。
実際のサービスだが、観客席ではゴール下やコートサイドのVRカメラから撮影された迫力ある映像をVRゴーグルを使って見られるほか、ARグラスで実際に見ている光景に別視点の映像を重ね合わせて見られる観戦体験を実施。また、タブレット端末ではコートの半分に設置された自由視点カメラを用いて、好きな角度から試合を視聴できるサービスを提供した。
5Gネットワークの利用部分だが、カメラで撮影後VRやAR、自由視点カメラ向けに処理された映像を会場の5G基地局から、観客席に設置された5G対応スマホの試験機へ無線で送信し、Wi-Fiルーターを経由してVRゴーグルなどで受信する形になっている。
VRゴーグルで提供したサービスは、3つの視点を切り替えて試合を見られるほか、ほかの場所から参加しているユーザーとアバターや音声を通じて交流できるというもの。ゴール直下の迫力ある映像を楽しみつつ、ほかの人と一体感をもって応援できる。将来的に外出先でも体験できるようになるとおもしろくなりそうだ。
一方のARグラスは、肉眼で見ている内容に映像を重ね合わせられるので、観客席でIoTを活用した観戦体験としてはベストだと感じられた。観客席からは見にくい視点でも試合を楽しめるのはもちろん、よりサービスが洗練されれば試合や選手の情報なども得られるようになるだろう。
自由視点映像は、タブレットを操作すると映画マトリックスのようにコートをぐるっと回るように視点を操作できる点がおもしろい。
今回の5Gプレサービスでは、コンコースや入場口でも5G時代を見据えた、各社サービスの展示やサービスも提供されていた。
Dolby Japanは実際に5G回線を利用して、20Mbpsで4KサイズのDolby VisionによるHDR映像と立体音響を体験できるブースを用意。明暗差をしっかり描画できるうえに、実際に会場にいるかのような臨場感の音を楽しめた。
オーウェル社の選手追尾映像のコーナーでは、タブレット端末などで選んだ選手だけにフォーカスした映像を見られるサービスを展示していた。これはBluetoothを活用して、コート上部に設置したロケーターから選手のシューズに取り付けたセンサーの位置情報を取得。その情報をもとにカメラが自動追尾撮影するというものだ。センサーの小型化を進めることで、実際の試合での運用を目指したいという。
選手の位置情報を利用したサービスとしては、nrealのARグラスで選手の位置情報を3DモデルのARホログラムで表示する展示も用意。また、ASCENTは選手の動きを認識して映像に各選手のプレイ情報となるスタッツをリアルタイムで表示するサービスを展示。5Gサービスと組み合わせることを意識した、プレイの分析、表示技術となる。
入場口ではソフトバンクグループの日本コンピュータビジョンが、顔認証による入場サービスを実施。今回は参加人数を絞ったうえで参加者に顔写真を提出してもらっての実施ということだが、99%の精度での入場管理が可能とのことだ。
5Gは高速化や大容量が注目されがちだが、低遅延や低消費電力が特徴のIoT機器やサービスの提供も強みとなっている。今回の5Gプレサービスは、ソフトバンクグループはもちろん、外のサービスを積極的に取り込める強みも感じられた。