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2億7000万ドル調達 スポーツビジネスにイノベーションを起こす総合格闘技ONE Championship

2019年06月20日 11時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ガチ鈴木/ASCII編集部
取材協力&聞き手●上野直彦 写真● 曽根田元

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アジア発、日本での展開への影響は

上野 他の国での人気が先行し、日本ではこれからという段階でしょうか?

 東南アジアから成長し、アジアでは日本、中国、韓国という経済的に見て先進国に進めていきます。放映権側ではアメリカ、インドと提携したことで、視聴者数がそれまでの17億人からこの1年で26億人と飛躍的に増えました。アジアの人口は40億人、これにアメリカが加わり、いよいよ本流に入るというところです。

 それに加えて、先に総合格闘技の世界連盟である「GAMMA」(Global Association of Mixed Martial Arts)と複数年の提携を結びました。GAMMAは総合格闘技が五輪競技として承認されることを目標としており、11月にMMAユース選手権を開催する予定です。いよいよ五輪に向けた明確な活動として動き出したと感じています。

 2032年のオリンピック開催地としてインドネシアが立候補しており、そこで競技となる可能性は十分に考えられます。その布石を敷くことができたというのがこの提携の意義の1つです。

上野 ”アジア発”というのは重要なキーワードだと思います。私自身、ヤンゴンなどアジアに行く中で、とにかく伸び代しか感じない。

 経済における勢いとアジアの伸び代は私も感じています。それがこのような格闘技の形として出てきたとも思えます。

 一方で、日本をみるともったいないという気持ちを感じます。「K1」や「PRIDE」が培ってきた格闘技の歴史があり、さらにいうなら武道の精神が発祥した国でもあります。ところが気がついたらアジアに追い越されているという実態です。

 私は2020年の後の日本のスポーツ界に危機感を抱いており、その後も成長するにあたってやるべきことはたくさんあると感じています。今回ONE日本代表の話をお受けしたのもそういった経緯があります。

上野 秦さんはご自身もアスリートであり、色々なスポーツビジネスに関わってきたご経験をお持ちです。

 ソニー時代はスポンサー側としてサッカーをどう最大活用するかに、その後のニールセンでは第3者として企業の投資対効果の物差しを普及させるかに関わることができました。ニールセンで勤務した6年の間に、日本でも効果測定という文化が根付いてきたと思います。スポーツビジネス先進国では当たり前のことですが、日本では当初全面否定されていましたから。可視化を受け入れるようになった背景として、ラグビーのワールドカップ、オリンピックなどのグローバルイベントが日本に来ることが挙げられますが、Jリーグやプロ野球、さらにはBリーグやTリーグなどのスポーツビジネスが発展したことも大きいと思います。

 一つの競技が継続性を持つためには、エコシステムが重要です。Jリーグもプロ野球も日本で定着していますが、供給から輩出まで継続的なビジネスや人材の基盤ができているからです。Jリーグが「Jリーグ百年構想」とうたっていますが、そのようなマインドが必要です。産業はバランスを整えて初めて成り立つものですから。

 その点では、格闘技産業はバランスが崩れており、ONEで貢献できるもの、供給できるものがあると信じています。

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