韓国の鉄道は旅行者でもキャッシュレスで乗れる!
LCCの普及で国内旅行に行くよりも台湾や韓国へ行ったほうが安上がり。そんな時代になっています。しかし、海外で困るのがモバイルペイメント。日本のコンビニでの支払いや電車に乗るとき、スマートフォンをタッチするのに慣れていると、海外へ行って切符を買うのが面倒になります。多くの都市ではSUICAのようなICカードも普及していますが、まとまったお金を入れたのに無くしてしまった、なんて悲しい思いを経験した人もいるでしょう。
Apple Payなどを使ってスマートフォンやスマートウォッチで電車に乗れるサービスを提供している都市も増えていますが、その国の居住者だったり銀行口座が必要なこともあるなど旅行者には使いにくいものが大半です。ところが韓国ではスマートフォンにアプリを入れて、日本のクレジットカードで料金をチャージできる交通系ICカードの提供が始まっていました。これを使えば韓国で現金不要で電車に乗れます。
韓国の交通系ICカードは「T-money」が主流で、どの都市でも使えます。T-moneyはモバイル版もありますが韓国居住者向けのサービスです。ところがこのT-moneyを海外渡航者でも使えるアプリがAndroid向けに出ています。それがモバイル版「KOREA TOUR CARD」です。
対応機種はAndroid 5.01以上、NFCを搭載しているモデル。また決済時(改札通過時も)にはデータ通信環境が必要となります。これは決済する際にセキュアデータをその都度通信で取得するからです。日本のおサイフケータイ対応スマートフォンのように、電源OFFでは使えないので注意が必要です。
使い方は、アプリのインストール後に会員登録(ユーザー名、メールアドレスなど)を行ない、続けてモバイルKOREA TOUR CARDをアプリ内で発給(発行)します。なお、すべての支払いには3.2%の手数料がかかります。モバイルKOREA TOUR CARDもカードだけの金額は3000ウォン(約276円)ですが、総支払額は3096ウォン(約285円)となります。「カード発給」をタップして、クレジットカード支払いが済むと画面にモバイルKOREA TOUR CARDが表示されます。
発給したカードは残高がゼロ。ここで画面下の「クレジットカード/クーポンチャージ」をクリックします。あとは希望金額をタップして、クレジットカードで支払います。今回は1万ウォン(約925円)をチャージしてみました。手数料は320ウォン(約30円)です。
ちなみに、ソウルの地下鉄初乗り運賃は1250ウォン(約116円)。1日あちこち移動するなら1万ウォンくらいでも間に合いそうです。もちろんもっと多くチャージしておいてもいいでしょう。
では地下鉄に乗ってみます。アプリを開いて残高が出ている画面(チャージ後、あるいはアプリ起動後)の画面右下にある「TAP TO PAY」をタップすると、カードの画面が出てきます。カードの右下には「01:58」の数字が見えますが、これは残り時間1分58秒ということ。カード画面にしてから2分間のみ、モバイルKOREA TOUR CARDが有効になります。なおデータ通信環境が無いとエラーがでて支払い画面になりません。
改札にスマートフォンをタップします。タップしても音が聞こえず、赤いランプがつくのですが、赤だとエラーに思えてしまい、タップしなおすと改札側にエラー画面が出てしまったりと、すんなりいかないことがあります。NFC方式なので日本のFeliCaよりも応答速度が遅いのです。改札を通るときはスマートフォンを改札の読み取り機の上に確実に置いて、改札口の料金表示部分に運賃が引かれた表示がされることを確認しましょう。とにかく「日本の改札より反応は遅いもの」と、ちょっと気を付けてタッチする必要があります。
改札を無事通ることができれば画面に取引完了の表示が出て、残高も減ります。そしてこのあとは降りるときも同様に、まずアプリを開いて「TAP TO PAY」でカード画面を出して、再びタッチします。切符も現金も不要、スマートフォンだけで完結するのは便利でした。
とはいえ、改札口での反応の遅さは数回使わないと慣れないかもしれません。日本なら一瞬ですが、ソウル地下鉄ではスマートフォンをタッチしてから1秒弱かかる、という印象です。また釜山の空港に行く釜山金海軽鉄道に乗ったところ、改札機が古いせいかスマートフォンにつけていた厚めのカバーを外さなくては反応してくれませんでした。
また、改札を通るときに毎回アプリを起動するのもやや面倒でした。ただしこれは「HCE(Host Card Emulation)」方式を利用するため仕方ないこと。HCEはNFCを搭載しているAndroidスマートフォンならどの機種でも利用できるという大きなメリットがあります。
残高のチャージごとに3.2%の手数料がかかるのももったいないと思ってしまいましたが、現金が必要ではあるものの、駅の切符販売機はICカードリーダー部分にスマートフォンをそのまま置くことができます。つまり現金を使って残高チャージが可能なのです。この場合は手数料がかかりません。
HCEを使ったNFC決済はアプリを起動しデータ通信環境が必要なものの、利用できるスマートフォンを選ばない利点もあります。韓国に行く機会があれば、ぜひ使ってみてください。
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