2019年5月16日、アステリアは台湾のAI大手であるGorilla Technologyと提携し、エッジコンピューティング分野を強化する。同社のエッジウェア「Gravio」を連携させることで、導入が本格化していないAIとIoTの敷居を低くし、AIの民主化を実現する。
インフラ領域で実績を誇るAIビデオ解析のGorilla
約7700社の導入を誇るデータ連携ミドルウェア「ASTERIA Warp」を展開するアステリアは、重点投資領域として「4D(Data、Desing、Device、Decenterized)」を打ち出しており、製品と技術の両軸で研究開発を進めている。
特にAIに関しては、早稲田大学の園田智也博士を迎えたAIの研究開発会社であるAsteria ARTを設立。また、IoTに関しては「ノンプログラミング」「月額500円からという低廉な価格」「ソフトウェアにIoT機器が添付」を謳うエッジウェアである「Gravio」の出荷開始し、すでに3桁の申し込みを受け付けているという。
アステリアが今回提携したGorilla Technologyはビデオ管理と解析のテクノロジーを持つ台湾のソフトウェア企業。同社の「IVAR」は、動画の録画や再生、保存、スケジュール管理などのビデオ管理、動画内の人、モノ、行動などを迅速に解析するビデオ解析の機能を包括的に提供する。グローバルでは9ヶ国で事業を展開しており、台北桃園空港ではセキュリティ監視、台湾の刑事警察局では台湾版のETCでの車両検知、オーストラリアの通信事業者であるテレストラではオフィスの入退室管理などで用いられている。
一般企業、店舗、学校で手軽に導入できるAIの実現へ
IVARはリソースに応じてエッジとクラウドでも利用可能で、エッジ側に配置することで動画検出のレスポンスを高めることが可能になる。インテルの「OpenVINO」のパートナーとなっているほか、AWS Kinesisをはじめ豊富なAPI機能を用いた既存システムとの連携も可能になっている。今回の提携の第一弾ではプラグイン可能な構造を持つGravioでIVARをサポートし、エッジにおいて精度の高いビデオ解析を実現する。
アステリア代表取締役社長の平野洋一郎氏は、IoTが工場や医療、災害対策など特定領域でしか普及していない点を指摘。また、AIに関しては、現状クラウド処理がメインになっているため、通信による処理遅延や個人情報のセキュリティ確保が難しいという課題もあると語る。
これに対して、アステリアはAI機能をエッジに配置する「AI onエッジ」により、AIの利用価値を高め、遅延やセキュリティの問題を解消することを目指すという。一般企業、店舗、学校などで手軽に導入でき、AIの恩恵を受けられる環境を実現すし、「AIを日々の生活に届ける」ことが可能になるという。「AIやIoTのシステムを導入するのではなく、すでに使われているシステムにAIが組み込まれている世界を目指す」と語る。