その後、Jリーグ全体で進める「JリーグID」が登場し、現在はJリーグIDに集約させる取り組みが進んでいるという。Jリーグは全クラブ用に共通基盤を用意しており、そこに分析ツールが入っているため「さらに見える化が進んでいる」と永井氏。「1クラブでやるとコストがかかるが、Jリーグ全体でやれば1クラブあたりの負担が軽くなる」とも述べる。
このJリーグ共通プラットフォーム構築を進めているのがJリーグデジタルだ。杉本氏は次のように説明する。「JリーグIDを中心に、顧客のデータを1つのデータベースに蓄積していこうというのが狙い。チケット、オンラインストア、アプリ、スタジアムのWiFiの接続などのデータをJリーグIDを通じて収集することで、来場の記録が取れるようになったり、来場とECの分析ができる。そうなってくると、次は”買ってくれてありがとう”というメッセージが選手から届くなどコンテンツ側に進むことができる」
2016年にスタートしたというが、背景として「個別のクラブで取り組んでいたが、なかなか進んでいなかった。2014年に村井(村井満氏)がチェアマンになり、デジタル領域に投資するという経営判断が下され、2015年からこういう活動が始まった」と付け加える。
2016年に始まり、2017年で動き始めだんだん数字が見えるようになってきたという。誰が・いつ・何を行なっているのかがわかるようになり、「その時のファンの感情みたいなものもわかるといいなと思いながら、改善を重ねている」と説明する。
データベースでは西井氏が執筆したマーケティング専門書「デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法」を参考に、最初の来場をF2、来場回数が増えるとF3、F4と数字が上がっていく形でセグメントを区切っているという(Fは"頻度"を意味するFrequencyを表す)。