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ICT企業集積拠点「スマートシティAiCT」にイノベーションセンター福島を移転、機能と規模を拡充

アクセンチュアが会津若松のデジタル化実証事業拠点を強化、その狙い

2019年04月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「社会のデジタル化には実証フィールドが必要」会津若松を選ぶ理由

 イノベーションセンター福島 センター長の中村氏は、これまでスマートシティやデジタル化社会に関する実証事業を積極的に誘致してきた結果、実証フィールドとしての会津若松の優位性が知られるようになり、ベンチャーを含む多くの企業が注目、AiCTへの企業入居にもつながったと説明。たとえば自動運転など、今後は他地域での実施が難しい先端技術の実証を行い、さらには「日本中に横展開できる『実装フェーズ』まで持っていきたい」と抱負を語った。

 インターネット上で完結するビジネスとは異なり、スマートシティや既存産業のデジタル化(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは、それを現場で試すための「実証フィールド」が必要であり、「どこかの地域とタッグを組んで成果を出さなければならない」と中村氏は指摘する。人口およそ12万人という会津若松市の規模は大きすぎず、「議論を重ねながら、3カ月単位で小さなプロジェクトを回せる」機敏さがあるという。

 また、デジタル化の取り組みは“都会”“若者主体”といったイメージで語られがちだが、現実にはむしろ地方において強く求められていることも指摘する。地域社会の高齢化や過疎化が進む中で、遠隔医療や電子行政、自動運転などは「会津においては『明日にでもほしい』ソリューション」であり、「都会で(実証事業を)やるよりもこちらのほうが結論が早く出るだろう」と中村氏は語った。

 これまでイノベーションセンター福島における取り組みでは、具体的に「社会をどう変革するか」というアウトカム(成果)にこだわってきたという。その具体例として、1200世帯が参加し最大27%の削減を実現した「省エネ推進プロジェクト」、市民の20%が利用する会員登録型の行政情報サイト「会津若松+(プラス)」、会津地域7市町村連携で海外向け観光ブランディングを実施し外国人宿泊者数を5.3倍に伸ばすことにつながった観光サイト「Visit Aizu」などを紹介した。

イノベーションセンター福島が手がけてきた事例。なお会津地域だけでなく、中通りや浜通りといった福島県全域で取り組みを展開していると説明した

 中村氏は、AiCT入居企業や地域企業との協業を通じてどのような「効果」を求めているのかという質問に対し、地域発展のためのコラボレーションモデルを模索し、構築していくことだと答えた。

 「地域発展のためにデジタル産業(ICT企業)と地域企業がどのようにコラボレーションするのか、そのモデルを作るのはこれからのチャレンジ(課題)だ。それが作れなければ、日本全体の生産性は上がらない。モデルを構築し、その効果をここ(会津)で実証して日本中に広めることを求めている。同じような取り組みをグーグルはトロントで、アマゾンはシアトルでやっているが、会津ではアクセンチュア1社ではなく、地域企業も含めていろんな企業がコラボレーションしてやっていく。1社がすべてやるのではなく、みんなでやっていくというのが、われわれが選んだ地域プラットフォームのモデルだ」(中村氏)

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