2020年発売のSnapdragonは5Gモデムを内蔵
Snapdragon搭載Windows PCも2019年に登場か
クアルコムは、スペイン・バルセロナで開催されたMWC19 Barcelonaに出展。端末メーカーの5G対応端末など、今回のMWC19 Barcelonaで注目ポイントとされている5G関連の技術をメインに展示していた。
大きくスペースを割いて展示していたのが、5G端末のデモブース。サムスン、LG、ZTE、シャオミ、OPPO、ソニー、OnePlusがそれぞれブースを設けてアピール。特にサムスン、LG、ZTE、シャオミ、OPPOの4メーカーは発売予定の商用モデル。クアルコムブースでは天井に5G用のアンテナも設置し、アンテナピクトにも5Gマークが表示されている端末もあり、5Gスタート直前といった様相だ。
各メーカーの端末はプロセッサーにSnapdragon 855を採用し、モデムに「Snapdragon X50 5G」を組み合わせた、クアルコムの5Gスマホ第1世代とも言えるスペック。2019年から来年前半に発売されるスマートフォンはこの組み合わせがメインとなるが、クアルコムは次世代のモデム「Snapdragon X55 5G」も発表済みだ。
Snapdragon X50は5Gのみ対応のモデムで、それ以外の3GやLTEなどのモデムはSnapdragon 855内蔵の機能を使用している。それに対してSnapdragon X55は、5Gだけでなく3GやLTEなどの通信にも対応する。単純に考えればメインのプロセッサーに3GやLTEと同じように5Gも内蔵したほうが良さそうだが、実現にはまだまだハードルが高そうだ。
クアルコムによると「さらにその次の世代には、メインのプロセッサーに」とのこと。MWC19 Barcelonaで開催されたクアルコムのプレスカンファレンスでも、2019年第2四半期にサンプル出荷され、来年には搭載製品が登場予定とアナウンスされている。
クアルコムは、モバイル通信のモデム機能を別にすることによるメリットもあるという。たとえば、SnapdragonでWindowsを動作させる「Windows on Snapdragon」用の最新プロセッサーは「Snapdragon 8cx」だが、このプロセッサーにはモデム機能は搭載されていない。このため、Snapdragon 8cxとSnapdragon X55と組み合わせることで、5G対応のWindows PCが設計できるわけだ。
すでにグローバルでは5Gスマホは発売間近
東京五輪合わせの日本は普及フェーズに出遅れる
このほか“What's next 5G”というタイトルのコーナーもあり、5Gの活用方法やサービスについて説明。5Gをこれからの技術としてではなく、当たり前の技術としてとらえているのが印象的だった。
すでに製品版の5G対応スマートフォンが数多く発表され、発売も間近となっているとなっているのがクアルコムブースからはよくわかるが、残念なのは日本の状況。東京五輪に照準を合わせてしまったため、各キャリアへの電波割り当ても遅れている。
クアルコムの関係者は「いわゆる先進国で、ここまで遅れているのは日本だけ」と話しており、5G時代のスタートダッシュに乗り遅れているのは明らか。対応の遅れは単にユーザーが速い回線が使えないというだけではなく、5Gを使った新たなサービスの起ち上げの遅れにもつながる。東京五輪というお題目のため、日本の行政が世界のスピードに対応できなかったのはなんとも残念な話だ。
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