6インチの次は8インチ前後の勝負?
折りたたみスマホもいずれはここに参戦?
さて、iPad miniのアップデートが遅れた理由として、iPhoneの大型化で製品のキャラクターがかぶるからだという指摘も少なくありませんでした。確かに2018年にiPhone XS Maxは6.5インチにまで到達し、数字の上ではiPad miniの7.9インチに接近してきます。
しかしiPad miniは幅があるので、片手で持ちながら文字入力をこなすほどコンパクトではないのです。iPad miniが登場したとき、ジーンズのお尻のポケットにねじ込んでみる人なども登場していた記憶がありますが、前のポケットにはなかなか入りませんよね。
映像を見る以上に、マンガや雑誌など、もともと紙だったコンテンツをみるには、幅のあるiPad miniのディスプレイは扱いやすいのではないか、と思います。ちょうど、雑誌や映像のサービスを始める気配があるAppleにとっては、良い戦力になってくれるかもしれません。
ただ、スマートフォンも黙っていません。
2019年に登場した折りたたみ型のスマートフォンは、折りたたんで5インチ程度、開いて8インチ弱というディスプレイサイズを実現しています。開けばiPad mini程度のサイズには到達できるようになっているということです。
これなら無理矢理じゃなくても、ズボンのポケットにきちんと収まりますよね。
タブレット市場の縮小は
Appleの独壇場になっているのも影響しているのでは?
10インチクラスのタブレットは、iPad以外にも選択肢がありましたが、市場そのものは縮小傾向にあり、その中でAppleが引き続き大きなシェアを確保している状態にあります。つまり、どんどん撤退している、ということです。
Appleは2018年のiPad Proの発表で、iPadを世界で最も売れているタブレットとして紹介しただけでなく、世界で最も売れているポータブルコンピュータとしても紹介しました。Appleも、iPadの「タブレット」というイメージを払拭しようとしている様子が見えます。
その一方で、先述の通り8インチ前後の画面サイズは、映像や紙面などのメディア消費が快適かつ持ち運びやすさを両立できるちょうど良いサイズです。子どもの入門向けタブレットにも良いでしょう。
人の体が劇的に巨大化していないことから、画面サイズに規定されるスマートデバイスのサイズは、やはり5~8インチのレンジで「ちょうど良さ」を見つけていく状況が続いていくでしょう。
スマートフォンと小型タブレットの組み合わせはコミュニケーションとメディア消費という用途を切り分けつつ、持ち運びやすいサイズに留めるチョイスと言えます。
しかし複数のデバイスの通信料金やバッテリーの面倒を見なければならない手間がつきまといます。だったら、折りたためた方がよりスマートじゃないか、というのが、折りたたみスマホが埋めてくれるギャップなのではないかと思います。
今年に限っては、折りたたみスマホの値段が大きなハードルになってしまいそうですが。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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