結局のところ、便利じゃなければ行動は変わらない
ここで注目したいのは、アリペイにしてもIndia Stackにしても、人々のお金にまつわる問題が解決されて便利になる点が、強烈なインセンティブになっているという点です。アリペイはお互いの信用が低い、中国におけるEコマースの取引に利便性とスピードを与えました。India Stackは、都市ではシリコンバレーの巨大プラットフォーマーに決済インフラを握られることを阻止し、一方の農村部では確実に補助金が受け取れるというメリットがあります。
翻って、日本の電子決済やポイントサービスには、そうした便利さや強烈な動機があるでしょうか。たとえば消費税の還付が議論されていますが、これは使うインセンティブになり得るでしょう。しかし店舗側・客側の双方の便利さが伴わなければ、今までの日本の役所などの手続きと同じように「やらされている感」が強まります。
理想的には、取りあえずスマホによる1タッチで決済から手続きまでが済んでいることが理想なのですが、あれだけプレイヤーが多様化している電子決済とポイントサービスの状況では、その理想の形が当事者に見えているのか心配になります。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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