汎用5Vアシスト充電に対応させた理由
――そんな中、USB Type-Cが復活しました。
黒崎:Type-Cは急激に状況が変わってきていますよね。法人でもType-Cがなければという声も出てきています。われわれが最初にType-Cを採用したときは、オススメできる周辺機器がなかったので、かえって混乱させてしまう状況でしたので、一度優先度を落としていました。いまはだいぶ安定してきたのではないでしょうか。
――PD(Power Delivery)にも対応して、使い勝手の面でもよくなりました。
黒崎:充電に対応したことは大きいですね。お客様からも一番反響が大きく、5Vアシスト充電のようなユニークな機能も搭載しましたので。あれも、日本人が設計しないとやらないと思います。
――5Vアシスト充電機能を搭載しようとした経緯はなんだったんでしょう?
巣山:われわれ設計の大半がノマドで、出張を含めていろんな場所にPCを持ち出して作業しています。その際、ACアダプターを忘れることが多いんですよ。ですので、設計者としてもあったら便利と思っていた機能なんです。現在PD対応ACアダプターがどのくらい認知されているかを考える必要はありますが、5V用ACアダプターを使えることは、多くのモバイル製品を持ち歩く人にとって大きなメリットだと思いますね。
――5Vアシスト充電機能に対応することで苦労したことは?
黒崎:さまざまな充電器が使われることを想定して検証していかなければならないので、根気強く検証を続けることが大変でした。
巣山:PCに同梱しているACアダプターは10.5V、19.5Vと出力する電圧は決まっていますが、PD用のACアダプターでは5V、9V、15V、20Vと複数の電圧を出力するものがあります。どの電圧を受けても最適な回路や制御となるよう調整することに、結構な時間を費やしました。もちろん9Vは対応しませんと言ってしまえば簡単なのですが、それではスローガンである「快」から外れてしまいます。また、電源効率を高めないと、熱が発生したりVAIO TruePerformanceなどのレスポンスへの影響も出てきます。現在VAIO Pro PA/PKで5Vアシスト充電をサポートしていますが、実は5Vアシスト充電へのアプローチ方法は違っていて、一から設計し直しています。
――VAIO Pro PAでサポートしたからVAIO Pro PKでも同じものだと思っていました。
巣山:当初はその予定でした(笑)。しかしCPUは違うし負荷も違うため、電源回路の効率にも影響したので、1から設計して最適化を測っています。
――製品を設計する上で、やはり法人向けというのを意識しているのでしょうか?
黒崎:法人向けというよりは、ビジネスユースをターゲットにしています。法人の比率は確かに高いですが、法人の中でも個人に近い買い方をされる人、たとえばオンラインサイトで1台ずつ買っていただく大学教授ですとか、個人事業主の方も多く、ここの比率は他社より多いと思っています。そういう方々のニーズはコンシューマーに近いところにあるので、やはり最先端の機能も追っていかなければならないですし、見た目も重視していかなければなりません。
最終的には法人であろうと使うのは個人なので、選定者が最終的に使う人の感情的な意見を気にしています。ある企業では複数社からエンドユーザーが選ぶ方式にしたところ、圧倒的にVAIOに偏ったというケースも聞いています。そういう意味では、コンシューマーを意識しつつ法人のお客様にも魅力的な商品を提供していきたいと思っています。
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