2019年1月28日、アクセンチュアは「90%自動化」を推進するアウトソーシング拠点として「アクセンチュア・インテリジェント・オペレーションセンター福岡(AIO福岡)」を福岡市内に開設し、高島宗一郎福岡市長を迎えたオープニングイベントを開催した。
「つまみ食いのRPA」を超えたデジタル活用で自動化を推進
社員数46万9000人という規模で世界120ヶ国でコンサルティングサービスを提供するアクセンチュア。「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーション」「セキュリティ」の6分野で専門組織とチームを形成し、顧客のビジネス変革を推進している。1961年に事務所が開設されたという日本法人もすでに50年以上の歴史を持っており、20四半期連続で2桁成長を遂げているという。人員も2015年からの3年間で倍増しており、現在の日本法人の社員は約1万1000人を擁する。
こうしたアクセンチュアのビジネスの1つが、四半世紀以上の歴史を持つ業務プロセスアウトソーシング(BPO)だ。今回開設されたAIO福岡もこうしたオペレーションセンターの1つに位置づけられるが、人間のオペレーターによる手作業ではなく、すべての業務ステップにデジタル技術を活用した「インテリジェント・オペレーション」の創出と運用を実現する。具体的にはRPA(Robotic Process Automation)やAI、アナリスティックなどのテクノロジーと、抜本的なBPR(Business Process Reengineering)により、人間とマシンが高い次元で共働することで、執行系業務の「90%自動化」を提供できるという。
従来の業務の省力化では、現行プロセスを前提とし、部分的なRPAを当てはめる「つまみ食い」の状態。そのため省力化効果は10~20%に過ぎない。アクセンチュアの伊佐治光男氏は、「RPAだけで80~90%自動化できるというのは事実ではない。大事なのは業務プロセス」と強調する。
これに対して、アクセンチュアが目指す「90%自動化」はゼロベースの業務改革とデジタル技術の活用、さらに定量的な管理をすべて組み合わせることで、総合的な自動化を図る。また、人間とマシンの共働を推進すべく、人間側の再教育(リスキニング)や再配置などを進め、継続的にオペレーションの改善を図っていくという。「超自動化はビッグバンではなく、ジャーニーである。われわれはロボットを動かすのではなく、業務改善にコミットする」と伊佐治氏は語る。
現場を持つ福岡はチャレンジに最適なまち
アクセンチュアは国内各地で拠点を拡充しており、2014年には熊本でBPOセンターを開設したほか、2017年3月にはアクセンチュア・イノベーションセンター福島の拡充、北海道デリバリーセンターの拡充をそれぞれ行なっている。また、2018年2月には顧客と共同で革新的なアイデアを具現化するための「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」を開設し、2018年2月には関西オフィスの拡充、、2018年5月には東京本社の移転・拡充を実施した。そして、今回のAIO福岡の開設により、2019年時点での国内拠点は東京、横浜、大阪、福岡、熊本、札幌、福島の7都市に拡がったという。
AIOのロケーションとして福岡を選定した理由としては、成長都市としてのポテンシャルに注目したからだという。アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏は、「若年層の人口が伸びており、デジタル産業との親和性も高い」と福岡市を高く評価。挨拶に立った高島宗一郎福岡市長も、「福岡はチャレンジできる現場を持っており、国家戦略特区として、国に対してもいろいろ提案できる立場である」とアピールした。
AIO福岡には、ワークショップやファクトリーなども用意されており、地元福岡のスタートアップとのコラボレーションも期待されている。就任以来、スタートアップ施策に注力してきた高島市長は、「スタートアップのみで成長するのは厳しいので、経験や販路を持った既存企業とのコラボレーションが重要。グローバルな取引もあるアクセンチュアには、最先端のテクノロジーとビジネスを組み合わられる“触媒”として、スタートアップとの化学反応を期待している」と歓迎した。