オープンスタンダード戦略に
舵を切ったIBM
プロトタイプの構造は不明だが、少なくともIntel 8085をベースとしたものだったことだけは間違いない。開発チームはSydnes氏がリーダーとなって作業したそうで、この12人は“the Dirty Dozen”と呼ばれた。
1ヵ月後の1981年8月、ワイヤラッピングで作られたプロトタイプによるデモとともに、Lowe氏は詳細なビジネスプランをCMCに提示する。そのプランの骨子は、徹底したOpen Standard戦略である。
PCの普及には広範なアプリケーションが必要である。IBMは基本となるハードウェアこそ作れるとしても、ソフトウェアまでは手が回らない。仮に手が回ったとしても必要なソフトウェアを開発するのには膨大な時間がかかる。
であれば、外部のソフトウェア企業に積極的にアプリケーションを作って販売してもらう必要があり、そのためにはシステムの構成からスタートして必要な情報をすべてオープンにすることで、ソフトウェアベンダーがアプリケーションを開発しやすくする必要があるとLowe氏は説いた。
実はこれ、Apple Computerのビジネスモデルであった。Appleは(多分にSteve Wozniak氏の趣味という気もしなくはないが)やはり内部情報が公開されており、これもあって非常に多くのハードウェア/ソフトウェアベンダーのエコシステムが構築されていた。
Lowe氏はこれにならったわけだが、そのAppleはMacintoshで逆にクローズドシステムの方向に舵を切っているので、なかなか世の中難しいものである。
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