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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第488回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー パソコンの元祖IBM 5100が誕生

2018年12月10日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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IBMパソコンの原型
SCAMPを社内でデモ

 ということで今回はIBM-PCが爆誕するまでの話だ。Lowe氏は1973年、SCAMP(Special Computer APL Machine Portable)と呼ばれるマシンの開発に携わっていた。SCAMPは同社のPaul Friedl博士とLos Gatos Scientific Centerのチームが開発したものだが、その実装をLowe氏が手伝っていた。

Friedl博士と、左からSCAMP/IBM 5100/IBM 5110/IBM 5120、一番右がIBM PC

 SCAMPそのものは、IBMが自社で開発したPALM(連載422回とは無関係)という16bitマイクロプロセッサーを利用した。ちなみにPALMはPut All Logic in Microcodeの略である。

 もっともマイクロプロセッサーといっても当然1チップではなく、ロジックボードの上に13個のゲートアレイで実装されている。SCAMPは名前の通り、APL(*1)を使える、ポータブルなコンピューターを目指したものである。

(*1) そういうコンピュータ言語があり、80年代あたりまで特にIBMは力を入れていた。

 ポータブル、といっても写真でわかる通り、「現在の基準では」到底持ち運びできる代物ではなかったのだが、1973年当時では画期的な小ささであった。ちなみにこのSCAMP、モニター部分は持ち運び時に筐体内に畳み込めるようになっている。

 SCAMPはあくまでもプロトタイプであったが、Lowe氏はSCAMPを抱えて社内のあちこちにデモして回ることで、これをベースとした製品の開発にGOが出た。

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