生産性の改善と業務の棚卸の両面で時短を進める
働き方改革ではよく「生産性の向上」という言葉が使われる。これは作業をなるべく短時間で効率よくこなすことと言い換えられる。「便利なツール」の導入や適切な「時間管理」(自己管理)、そしてビジネスパーソン自体のスキル向上によって改善できる部分だ。
パソコンの導入、あるいは活用法を考える際に注目すべき点としては、どのような形で生産性を確保するかだ。古い世代のパソコンを使うことで、気付かないうちに業務効率が低下していることは多い。例えばVAIOが公表しているデータでは、2014年モデルと2018年モデルの性能差は3倍に迫るものとなっている。また、LTEの搭載など、アポイントとアポイントの間の隙間時間を有効活用できる機能なども追加されており、作業の時間をより効率よく使うことができる。
とはいえ、「時短」を進めるということは、仕事に使える時間の総量が減ることでもある。短時間で多くのタスクをこなすだけでは限界もあるだろう。経験を積んだビジネスパーソンは経験の浅い人に比べて、効率よく多くの仕事をこなせるが、そのぶん抱える業務も増えるので、1つ1つのタスクに掛けられる時間は減少していく。生産性に対する課題は常に目の前にあるものだ。
最近ではチームを率いながら、自分もプレイヤーとして率先して活躍する「プレイングマネージャー」が増えており、スキルはあるはずなのに、以前は消化できていた仕事がうまく回らないというジレンマを抱えるケースも多いだろう。
自分の作業に使う時間は、業務時間の外にはみ出しがち
時短のしわ寄せは、組織の核となる、中堅社員やリーダー、管理職などに及びやすいが、その理由の多くは、他人のために使う時間が業務を圧迫して、自分の作業をこなすための時間が確保できないためだ。特に、会議や打ち合わせなどの予定、あるいは同僚や部下とのコミュニケーション、飛び込みの問い合わせなど想定外の作業に割く時間は自分の都合だけでコントロールすることが難しい。
例えば、1日10時間程度働いているプレイングマネージャーがいて、(1)会議やアポイントなど予定が決まった仕事に40%(4時間)、(2)外部からの問い合わせや、それに関連した部下からの相談などに25%(2.5時間)、(3)自身のタスクの消化に35%(3.5時間)を割いていたとする。
簡単にシミュレーションすると、ここで労働時間を10%削減(つまり1日9時間に制限)せよという指示が会社から下った際、これを作業の効率化だけでカバーしようとすれば、1日で使える時間は2.5時間に制限されてしまう。1時間と思うかもしれないが、自分の作業に使える時間が30%近く減ってしまうと考えれば、1ヵ月、1年のスパンで見ればかなりの負担である。
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