アクセンチュアがDXを支援、徹底したBPRと店舗タブレットで「口座開設を6分で」実現
「10年間で来店客は40%減」伊予銀行が語る地銀の危機感とデジタル化
2018年11月26日 07時00分更新
地方銀行の伊予銀行(本店:愛媛県松山市)とアクセンチュアが2018年11月22日、伊予銀行におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトの取り組みと、チャット/AIを活用した店舗受付タブレット「Agent」を含む新たな業務プラットフォームについての記者説明会を開催した。
地方銀行では、営業エリアの人口減少や超低金利政策の長期化に伴ってビジネス環境が厳しさを増しており、さらにはデジタル化の浸透などに伴って店舗への来店客が大きく減少するなど、顧客との関係や店舗の位置付けも大きく変化している。地域のビジネスインフラとしての役割も担いつつ、業務効率化と新たなサービス/ビジネスモデルの創出をいかに進めるか。説明会では、伊予銀行が10年間のプランで進めるビジネスモデル変革やDXの取り組みなどが紹介された。
店舗に受付タブレット配備、口座開設にかかる業務量を「約70%削減」
伊予銀行が今年10月から一部店舗へ展開を開始したのは、店舗業務をタブレット化するAgent。現在は普通預金/定期預金/積立定期の各口座開設機能を備えており、今後数カ月おきに順次Agentの対象業務を拡大、最終的には26業務への適用を計画している。このAgentは、2020年には全店舗に配備される。
Agentの特徴は、これまで紙帳票ベースで処理してきた銀行窓口業務をペーパーレス化し、同時に店舗側の後方事務作業もシステム化/自動化を図ることで、顧客に対しては「待ち時間の大幅な削減」を、また店舗にとっては「業務量の大幅な削減」を実現していることだ。同行によれば、これまで45分ほどかかっていた新規口座開設がおよそ6分に、通帳/カード発行まで含めても10分程度に短縮された。
伊予銀行ではすでに2015年から業務の簡素化/効率化に取り組んでおり、店舗における事務プロセスの簡素化=BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)も実行してきた。今回のAgent導入に併せてそのBPRをさらに推し進め、バックエンドの事務員による人的作業を大幅に削減し、たとえば新規口座開設における業務量はおよそ70%削減できたという。
さらにAgentでは、来店客が利用するインタフェース(UI)にはチャット形式を採用しており、一問一答形式でデータ入力を促す(本人確認書類のカメラ読み込み機能も備える)。ふだんからチャットになじんでいる来店客からは「わかりやすい」と好評だという。
なおこのAgentは、アクセンチュアが開発したプラットフォーム「Chat Co-Robot」をベースに共同開発されたソリューション。昨年11月にアクセンチュアが発表した統合基盤「ACTS(Accenture Connected Technology Solution)」のアドイン機能であり、現在は行員向けUIを「Slack」経由で提供するSlackアダプタを開発しているほか、将来的には顧客の個人情報や行員の行動履歴をAIエンジンで学習し、提案のパーソナライズや業務判断の自動化も進めていく方針としている。