クラウドDRのシンプル化/低コスト化、従量課金型導入モデルの適用など
HPE、第4世代「StoreOnce」などデータ保護製品をアップデート
2018年11月12日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2018年11月2日、データ保護(バックアップ/リストア)ポートフォリオの機能強化/拡張を発表した。ソフトウェアを刷新したバックアップアプライアンス「HPE StoreOnce」の第4世代モデル、新たにNimble Storageにも無償バンドルされる「HPE Recovery Manager Central(RMC) 6.0」、従量課金モデルで製品が導入できる「HPE GreenLake」のバックアップストレージへの適用拡大など。
シンプルにクラウドバックアップ/DRを実現する第4世代「StoreOnce」
重複排除バックアップアプライアンスのStoreOnceは第4世代となり、パフォーマンスやスケーラビリティの向上に加えて、ソフトウェアの刷新によって「運用のシンプル化」「SLAの向上」「データ保護方法の選択肢拡充」が図られている。
StoreOnceでは今回新たに「HPE Cloud Bank Storage」に対応した。これは重複排除済みのバックアップデータをクラウド(オブジェクトストレージ)にコピーし、データの遠隔地保管/DR(災害対策)を実現するオプション機能で、パブリッククラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、またプライベートクラウドソフトウェアのScalityに対応している。
HPEによるとStoreOnceの重複排除/圧縮技術によってバックアップデータ容量を約20分の1に削減できるため、クラウドサービスの利用コストを低減し、効率的な長期保存を実現する。また、オンプレミス環境のStoreOnceが被災した場合でも、クラウド上の保管データだけで別のStoreOnceにリカバリすることができる点も競合優位性のある特徴としている。なお、既存のバックアップソフトウェアとStoreOnceでデータ保護ポリシーを変更することなく、シンプルにクラウド連携機能を追加できる。
今回はGUIも刷新され、最大20のStoreOnceシステム(仮想アプライアンス版のStoreOnce VSAを含む)を単一画面で統合管理できるようになっている。またパートナーエコシステムも拡張し、新たに「Commvault Complete Backup & Recovery」ソフトウェアとの連携も可能になっている。
最小構成価格(税抜)は、オンプレミスアプライアンス版StoreOnce Systemが240万円から、仮想アプライアンス版のStoreOnce VSAが40万円から。またCloud Bank Storageオプションが5万円から。いずれも11月2日より販売を開始している。
コピーデータ管理ソフトがNimbleでも無償提供、従量課金型導入モデルも提供開始
これまで「HPE 3PAR」ストレージに標準バンドルされてきたコピーデータ管理ソフトウェアの最新版、HPE RMC 6.0では、新たにNimble Storageにも対応した。RMCはHPEストレージ~StoreOnce間のダイレクトバックアップ/リカバリだけでなく、アプリケーション/仮想環境や他社バックアップソフトとの連携など、幅広いデータ管理機能をHPEストレージにもたらすソフトウェア。
「RMCがNimbleに対応したことで、Nimbleのフラッシュストレージ~高速バックアップのStoreOnce~クラウドと、一気通貫で自動化されたデータ保護を提供できるようになった」(HPE ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの諏訪英一郎氏)
ストレージ製品に無償バンドルされるため、従来バックアップソフトにかかっていたコストの削減、バックアップ環境のシンプル化などが実現する。HPEの内部テストによると、HPEストレージからStoreOnceへのダイレクトバックアップにRMC 6.0を使用することで、他社ソリューション比で約23倍高速なバックアップ/約15倍高速なリカバリが実現したという。
RMC 6.0は今年12月の提供開始予定。3PARおよびNimble Storage製品本体に無償でバンドルされる。
もうひとつ、オンプレミス環境のハードウェア/ソフトウェアを従量課金型で導入できるGreenLakeサービスをバックアップ環境に適用した「HPE GreenLake Backup」も発表された。対象ストレージは3PAR、Nimble、XPで、ソフトウェアはCommvaultおよびVeeamから選択可能で、初期構築や運用のコストを月額で支払うかたち。
GreenLake Backupを利用することで、調達コストなしで予備キャパシティを配備することができる。さらに、ソフトウェアの課金対象は「バックアップ対象のデータ容量」となっているため、たとえば同じデータを複数世代保管する場合でも、追加コストの発生が抑えられる。
「データ保護に対応したインテリジェントなストレージ」目指す
記者説明会に出席したHPE ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、米HPE CEOであるアントニオ・ネリ氏が「データは“通貨”になっていく」と語っていることを挙げ、現在の企業ニーズが重要なデータの保護だけでなく、それを「即座に活用もできる」ことにも拡大していることを説明した。ただし現実には、保有データの増大、コピーデータの散在、SLA要件の多様化、システム環境の複雑化といった課題も拡大している。
これに対してHPEでは、従来からのデータ保護アプローチを進化させて、「バックアップソリューションとプライマリ/セカンダリストレージがシームレスに連携した、データ保護に対応したインテリジェントなストレージ」環境の実現を目指しており、そのために今回、ストレージ側機能のアップグレードを図ったと述べた。