世界各国で売られているスマートフォンも、今やほとんどが知られている大手メーカー品ばかりになっています。最近は中国メーカーの進出が進んでおり、ファーウェイやZTEはもちろんのこと、OPPO、Vivo、シャオミあたりの製品も見かけるようになりました。筆者はヨーロッパにも取材でよく行きますが、どの国へ行ってもキャリアや家電店で並んでいる端末の顔触れはだいたい同じです。
ところがポルトガルには日本ではまったく知られていないメーカーや、マイナーメーカーの製品が普通に売られているのです。毎年2月にはスペイン・バルセロナで開催されるMWCへ取材に行きますが、そのすぐ隣国のポルトガルにはスペインでも見かけないメーカーのスマートフォンが売られています。
イギリスの携帯電話量販店「Carphone Warehouse」はヨーロッパの一部の国でも展開しており、ポルトガルでは「Phone House」の名前で各都市に店を出しています。そのPhone Houseのカタログを見ると、見慣れぬメーカーのスマートフォンが並んでいるのです。
ポルトガルにはボーダフォン、MEO、NOSの3キャリアがありますが、MEOは親会社でヨーロッパのメディア企業「Altice」ブランドのスマートフォンを多数販売しています。最上位モデルの「S70」でも価格は200ユーロ、1600万画素カメラ、5.5型(720×1280ドット)のディスプレー、SoCはオクタコア1.5GHz CPU(メーカー不明)ですのでミッドレンジ以下のモデルが中心。手ごろな価格のモデルをそろえているためか、他国で見られるアルカテルやWikoの製品をMEOはあまり扱っていないようです。
「ニューヨーク」「ドバイ」「モナコ」と海外の都市名を製品の名前に付けているLaiqはポルトガルのメーカー。端末価格は100ユーロ前後でAlticeよりもさらに下のレンジの製品が中心です。シンプルでデザインのいい製品を投入しており、スペックはやはりミッドレンジクラス。他とは違う製品を目指しているようです。
たとえばモナコは130ユーロ、SoCがMT6737、5型(720×1280ドット)ディスプレー、1300万画素カメラ。価格相応ですが、このレンジの製品として大手メーカーのエントリー機と互角の勝負ができそうです。
さてキャリアのMEOのWEBページを見ると、「Star」と名の付くスマートフォンが多数あります。ただし製品名の頭がStarで、それにスペースなしで名前が続いていることからそのStarがブランドやメーカー名ではないようです。個別の製品を見てみると、実は背面に「Altice」または「Laiq」のロゴが見えます。
ハイエンド製品はアップルやサムスン電子に任せ、多くの人が買いやすいミッドレンジ以下の製品を増やすために、2社の製品をさらに別ブランド名のようにすることで製品種類を増やそう、という考えなのかもしれません。
もう1つの地元キャリア、NEOのほうも自社ブランドのスマートフォンをいくつか出しています。「NOVU III」「Neva 80」「Dive 72」などがあるのですが、すべて大手メーカーのODM品でNeva 80がZTE(V770)、Dive 72はTCL(アルカテルA3)。製品名に統一性がないのですが、これはこれでちょっと現物を見てみたいかも。価格はやはり100ユーロ台で、手軽に買えます。
これらの端末はハイエンドスマートフォンを使っている人には興味がわかないものかもしれません。しかし、ポルトガルに行ったときに現地プリペイドSIMと一緒に買って、日本から持ち込んだ自分のスマートフォンのテザリングモデムとして使うのは十分あり。どうせ買うなら現地品を買って思い出にしたいもの。それに複数端末があったほうがなにかと便利です。
ポルトガルではネットワーク機器で有名なTP-LINKのスマートフォン「Neffos」シリーズも販売されています。筆者も来年のMWC取材時はポルトガルまで足を延ばしてみようと思っています。
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