100社超が参加する「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」のイベント、多彩な業種ソリューション
NEC、AI・IoTと顔認証のパートナーソリューション展示会を開催
2018年09月10日 07時00分更新
NECは2018年9月6日~7日、東京港区のNEC本社で「AI・IoT共創ソリューション展示会」を開催した。NECの「画像認識サービス GAZIRU」や「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」、顔認証エンジン「NeoFace」などを組み込んだ開発パートナーのソリューションを幅広く紹介する催しで、会場には顧客企業担当者や販売パートナーが多く詰めかけ、さまざまなデモ展示に注目していた。
NECでは2017年春から「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」の取り組みをスタートしている。これは、パートナーが持つ製品/ソリューションにNECの顔認証/AI/IoT関連技術を掛け合わせて、新たなビジネスを“共創”していくことを狙いとしたコミュニティだ。パートナーに対してトレーニングや技術支援、販売/マーケティング支援、別のパートナーとの協業支援などを行うことで、NECの技術が組み込まれたソリューションの幅広い業種への展開を実現しようとしている。
NECによると、同コミュニティの加盟社数は8月現在で100社を超える規模まで拡大している。「現時点でAI・IoTのパートナーが約60社、顔認証が40~50社程度」(NEC担当者)。また8月からはRPA製品「NEC Software Robot Solution」のパートナープログラムも新たにスタートし、規模拡大をさらに後押ししているという。
今回のAI・IoT共創ソリューション展示会は、このコミュニティにおける取り組みを通じて生まれた成果=ソリューションを広く紹介するイベント。今年2月には、NECの顔認証技術を組み込んだソリューションの展示会を開催したが、その後AI・IoT分野のソリューションにおける成果も増えたため、今回は29ブースで両分野のソリューション群が展示されることとなった。
パートナーが持つ多様な“強み”とNECの技術がコラボレーション
会場内のブースでは、開発パートナーそれぞれが持つ“強み”や“業界ノウハウ”とNECのAI/顔認証の技術力を組み合わせ、幅広い業界に対するソリューションとして提案するものが多く展示された。
たとえば産業用カメラメーカーである日本エレクトロセンサリデバイス(NED)では、既存のソリューションにNECのRAPID機械学習エンジン(画像解析)を組み合わせ、撮影画像に写った製品への混入物(毛、虫など)をリアルタイムに識別するシステムのデモを展示していた。これまでの画像検査システムでは「何らかの異物」の混入は検知できたものの、それが何であるかまでは識別できなかった。それを具体的に識別できるようにすることで、生産ラインを止めるべき事態かどうかの判断や、混入原因/混入場所の特定がスムーズになるメリットがあるという。
デモシステムの構成は、NED製ラインスキャンカメラの画像をマトロックス(MATROX)製の産業用画像処理コンピュータで処理し、処理済み画像をRAPID機械学習エンジンが識別するという形だった。あらかじめ二値化や異物部分の切り出しといった画像処理を行うことで、RAPIDが識別しやすくする。また画像処理のフローチャートはGUIで構築でき、そのパーツの1つとしてRAPIDエンジンを組み込めるため、専門的スキルがない現場でも構築ができるとしている。
高級ブランド品や貴金属の買取販売を行うアプレでは、同社が行う真正品鑑定とNECのGAZIRU個体識別サービスを組み合わせた「TALグレーディングレポート発行サービス」を紹介していた。同社ラボ(TAL)ではバッグや腕時計などの高級ブランド品に対して科学的な真贋鑑定を行い、真正品の鑑定書(グレーディングレポート)を発行するサービスを行っている。ただし、それだけでは商品と鑑定書の紐付けができないため、流通するうちに商品が贋物にすり替えられてしまうおそれもある。
ここでGAZIRUを使い、商品の一部をカメラ撮影して照合することで、その商品が鑑定書を発行した個体なのかどうかを正確に確認できるようにした。これにより、これまで鑑定書が発行されてこなかった高級ブランド品について、真正品を示す鑑定書が発行できるようになり、その商品がさらに流通していくうえでも確実な保証となる。
鹿児島市に本社を置く南日本情報処理センター(MIC)では、ドローンによる広域空撮画像をRAPIDエンジンで画像解析し、作物ごとの作付面積や耕作放棄地の面積などの調査を短期間で正確に算出するソリューションを紹介していた。自動航行のドローンにより、20分間(充電バッテリ1本ぶん)でおよそ30ヘクタールを撮影可能。大量の空撮画像を自動でつなぎ合わせてオルソ画像化し、RAPIDで画像解析をかけることにより作付面積を算出する。
MICの担当者によると、もともとは人手で聞き取り調査していたさとうきび畑の作付面積を簡単に算出できないか、という顧客企業からのニーズを受けて開発したソリューションだという。もちろんRAPIDエンジンに学習させる作物の写真を変えることで、(上空から見える作物であれば)どんな作物の作付面積にも対応できる。
同ソリューション展示会ではそのほかにも幅広いAI・IoTソリューション、顔認証ソリューションが紹介された。展示会は今後も定期的に開催される見込みだ。