販売することが目的になってはいけない
2018年7月末に終了した同社第1四半期は、グローバルでの売上高は前年同期比20%増となり、力強い成長を実現している。
「売上げがマイナス成長から、高いプラス成長へと転換している。データマネジメントカンパニーに生まれ変わる戦略が、正しかったことを証明するものになっている」とする。
一方で、縮小市場と見られるストレージシステムにおいても、ネットアップにはチャンスがあると岩上社長は見る。というのも、2018年後半には、HDDとSSDの価格ポイントが逆転すると見込まれており、これにより、オールフラッシュ化の動きが加速すると予測されているからだ。
「オールフラッシュ化の動きは、ネットアップが強い分野に需要が移行することを示す。ネットアップにとっては、ストレージシステムにおいても、成長が期待できるようになる」とする。
データマネジメントカンパニーを標榜するネットアップは、呼応するように製品群の強化に乗り出している。
岩上社長は「ハードウェアだけでなく、最新のデータ管理機能も提供し、ハイブッドクラウドやマルチクラウド環境を通じて、企業の絶対経済効果を実現することを目指している」とし、「ネットアップはシェア拡大を目指すが、販売することが目的になってはいけないと考えている。顧客のデジタルトランスフォーメーションとデータ駆動型ビジネスへの変革を支援することが目的である」とする。
名実ともにデータマネジメントカンパニーへ
ネットアップでは、現在を「新たなデータサイクルの時代」と位置づけ、パブリッククラウド/プライベートクラウドの「クラウド」、専用ハードウェア、プライベートクラウドによるデプロイメントを実行する「コア」、データの発生点、データ収集や廃棄までを担う「エッジ」という3つの観点から製品やサービスを提供。「エッジ、コア、クラウドをシームレスに提供できるところが他社と異なる点」と強調する。
直近では、クラウド直結型高性能統合ストレージ「NetApp Private Storage」、クラウドデータサービス「Cloud Volume ONTAP」、ストレージからクラウドへデータを自動で階層化する「FabricPool」のほか、ハード上での統合データ管理をする「ONTAP Select」や超低遅延サーバーサイドストレージの「NetApp MAX Data」、ハイパフォーマンスオールフラッシュストレージ「All Flash FAS」および「FlexGroup」、業界で初めてNVMe over Fabricに対応したエンタープライズストレージ「AFF A800/ONTAP9.4」などを発表している。
さらにNVIDIAとの協業により、実証済みアーキテクチャー「NetApp ONTAP AI」でディープラーニング環境向けのエッジ、コア、クラウドに渡るシームレスなデータパイプラインの構築、高速化、拡張性を向上したという。
来年春以降には、監視システムやバックアップ、BCPやディザスターリカバリーに対応し、自動階層化する大容量ワークロード向け製品の投入や、高速ワークロード向けのオールフラッシュアレイ、リアルタイムアナリティクスやAIなどの用途に対応した超高速ワークロード向け製品をラインアップする計画も明らかにした。
一方で日本においては、デジタルトランスフォーメーションを捉えたエンジニア向けコミュニティー「NDX(NetApp Digital Transformation)Lab」の設置や、新たなコンサルティングサービス「ストラテジック・コンサル・サービス」を提供。2018年11月からは「クラウドサービスデザイン」、2019年2月からは「GDPR ITワークショップ」の提供を開始し、「データのコントロール、経済性と法務コンプライアンスの両立、実現性のあるITトランスフォーメーションなどを支援するワークショップを提供する」とした。
ネットアップが名実ともに、データマネジメントカンパニーへと進化する歩みはこれからが本番だ。
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