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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第14回

選ぶ楽しみ、そして使いこなす楽しみ、双子のDITAを体験

2018年09月03日 17時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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FidelityとFealtyはDreamの廉価版なのか

 以上、Dreamとの違いにも触れながらFidelityとFealtyの特徴を紹介した。音についてはどうだろうか?

 メーカーの紹介文によると、Fealtyは低域を重視したリスニング寄りのチューニング、Fidelityは高域が伸びてメリハリ感が利いたモニター寄りのサウンドとなる。とはいえ両者の雰囲気は近く、FidelityとFealtyは同じ傾向のサウンドと言っていい。Dreamとの差のほうが強く感じた。

 この音作りの方向性の違いがあるため、6~7万円の価格差があっても「Fidelity」と「Fealty」が「Dream」の下位機種とは言いにくくなっている。敢えて言うなら、コストを抑えた新世代機だろうか。

春のヘッドフォン祭 2017で撮影した試作機

 FidelityとFealtyは、試作機の段階からイベントなどで出展されており、適時聴いていた。とはいえ正直な話、FidelityとFealtyにそれほど魅力的には思えなかった。理由としては、Dreamの完成度の高さを知った後の機種だし、かといって入手しやすい価格とも言いにくいためだ。DITAはDreamでシングルダイナミック型イヤホンのゴールラインに一度到達したわけで、なぜ改めて中途半端な価格帯の製品を出す必要があるのか、疑問に思ったのだ。

 ただ製品版ができ、数週間じっくり聴いてみた感想は「これはこれでありかもしれないなと思い始めている」というものだ。結論から先に言うと、S/N感にしろ、透明感にしろ、Dreamの音質を超えているとは思えないのだが、イマドキのイヤホンユーザーの好みを考慮した音という意味では「新しい方向感」があると思えた。

DreamにないFidelityとFealtyの特徴はなにか?

 ハイエンドのHi-Fi機器と言うとちょっと前まではタイトで正確なビートを刻む低域の再現が好まれていた。しかし最近ではもう少し豊かで、音の世界に包み込まれるような感覚を重視した機種が増えている印象がある。この違いは最近制作されたポップスなどの音源からも感じられるので時代の好みなのかもしれない。

 Dreamはどちらかと言うと、前者の方向性をピュアに追究した傾向だった。ピッタリと合う定位感、切れ込み鋭くシャープな輪郭、目の覚めるような透明感が特徴のサウンドだ。言ってしまえば、くっきり、はっきり、ぴったりとした表現が魅力のイヤホンだった。

 音楽再生で言えば、明瞭なリズム帯の再現ができる点、高域がよく伸びて残響やブレスのニュアンスなどを的確に伝える点、S/N感がよく弱音部とフォルティッシモの描き分けが鮮やかな点、音の描写はシャープで精緻で細かく輪郭を描く点などが印象的だ。

 一方、Twinsの2モデルについてはいい意味でもう少し表現が緩い。

 最初のうちは弱音と強音の描き分けだったり、高域の伸びなどがDreamに比べると曖昧で、やや不満に感じた。しかし、聴きこんでいくと、特にFealtyはボーカル曲とよくマッチして、曲のおいしいところをうまく引き出していると思えるようになった。声がより近く感じるし、歌詞にもニュアンスが乗る。ブレスなど細かなテクニックを駆使している点も伝わりやすい。

 中域を重視する分、高域の抜けはそれほどよくないし、分離感やアタックなども抑制的になるのだが、逆にそこが聞きやすさにつながっている面もある。音色にも影響しており、打楽器系の音がボコンというよりは、ポリバケツを叩くように少しこもったポコンという感じになったり、弦やブラス系の音なども角が取れたような柔らかい表現になる。

 Dreamは中域が気持ちやせた傾向であり、アコースティック系の音源の再生に適した特性だ。器楽曲でヴァイオリンや金管楽器の音を倍音たっぷりにリアルに聴きたいという場合は、やはりDreamかなと思えるが、多くの人が聴くボーカル曲をゆったりと艶やかに聴きたいと思うのであれば、音にゆとりがあって包まれる感じのあるFealtyやFidelityのサウンドも悪くないと思えた。

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