2022年にはLinuxシェアが33.5%に、IDC Japanが2017~2022年 国内サーバーOS市場予測を発表
国内サーバーOS市場でLinuxの高成長続く、クラウド移行が背景
2018年08月21日 14時00分更新
IDC Japanは2018年8月21日、国内サーバーOS市場の2017年実績と2018~2022年の予測を発表した。2017年は市場全体の前年比成長率が4.3%で、中でも企業における業務システムのクラウド移行を背景としてLinux(商用ディストリビューション)が13.5%の非常に高い前年比成長率を示している。
また、2020年1月に迫るWindows Server 2008のサポート終了(EOS:End of Support)に伴う企業側の移行対応でも、Linuxなど他のサーバーOSへの移行を計画している国内企業が1割以上あることがわかった。
この市場調査予測には、サーバーOSとして稼働するWindows、Linux、UNIX、メインフレーム、その他OSが含まれている。Linuxの売上額は有償で販売されている商用ディストリビューションのみを対象としている(無償で入手できるLinuxは含まれない)。
まず、2017年の国内サーバーOS市場全体の規模は782億7,100万円で、前年比成長率は4.3%となった。
稼働環境別のシェアではWindowsが52.0%を占めている。IDCによると、Windowsの売上高は「大手企業のプライベートクラウドやクラウドサービスプロバイダーなどの大規模データセンター向けの販売が堅調」であり、前年比成長率は3.9%。
他方で、稼働環境シェアの24.8%を占めるLinuxは前年比成長率13.5%を示し、2年連続での2ケタ成長となった(2016年は前年比成長率11.5%)。Linuxが高成長を続けている理由について、IDCでは、Webシステムから基幹システムまで幅広い領域で採用されていることに加えて、クラウドサービス(IaaS)で構築されるシステムの多くが採用していることを指摘している。なお、Linux市場のシェアを見るとレッドハットが83.1%を占め、Linuxの成長を牽引する存在となっている。レッドハットの売上額は前年比成長率14.5%。
また、2017~2022年における国内サーバーOS市場の年間平均成長率(CAGR)は2.5%と予測されている。
同期間におけるWindowsのCAGRは2.0%と予測されている。IDCではWindowsについて、2020年のWindows Server 2008サポート終了を受けて2018~2019年にかけて更新需要が発生するが、「2020年以降はほぼ横ばいで推移する」と見ている。なお、Windows Server 2008を使用している企業に対する調査では、66.0%の国内企業が「Windows Server 2016/2012への移行」を計画している。
一方、同期間におけるLinuxのCAGR予測は8.9%で、2022年には稼働環境シェアで33.5%まで使用が拡大するとしている。オンプレミスの基幹システムにおける採用で安定した成長が継続するほか、今後はIaaSで業務システムを構築する企業がさらに増加するために「IaaSでのLinuxインスタンス(特にサポートが付いた商用ディストリビューション)の稼働の増加がさらなるLinux市場の成長を後押ししていくであろう」と、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は述べている。
Windows Server 2008を使用する企業では、前述のとおり66.0%が次世代Windows Serverへの移行を計画しているが、「Linux/その他サーバーOSへの移行を計画」も11.5%、また直接サーバーOSを購入しない「PaaS/SaaSへの移行を計画」も7.1%を占めた。「サポート終了後も当面使い続ける」も加えると、およそ9割の企業がすでに何らかの計画を立てていることになる。この結果からIDCでは、2015年のWindows Server 2003サポート終了時に多く見られた“駆け込み移行案件”のような混乱は少なく、計画的に移行する企業が多いだろうと予測している。