紙は生き残れるのか?
HP Inc.HP Indigo ゼネラルマネージャーのアロン・バーシャニー氏は「紙はSNSと競争できるのか」と問いかける。
確かに、現状はデジタルメディアの方向に流れがある。
バーシャニー氏も「マーケティング予算や広告予算の多くが、SNSなどのデジタルメディアに注ぎ込まれている。印刷物への投資は少なくなっているのが現状であり、印刷業界はデスゾーンあるいはレッドオーシャンのなかにあるのは明らかだ」とする。
だが、こうも語る。
「確かに、従来通りの印刷手法のままではレッドオーシャンのなかにいるだけだ。しかし、新たな価値を創造すれば、それはブルーオーシャンになる。HPはこれまでの印刷を超えた価値を提供できる」と語る。
ボイル氏も「印刷によって、顧客に新たな体験を提供できる。印刷が顧客との接点を強める提案が行える時代が訪れている」とする。
それを実現するのがデジタル商業印刷であり、その分野でリーダーを自任する日本HPだからこそ、IGAS 2018において「紙、復活」を掲げたのだ。
「紙」を切り口に価値を提案
日本HPの岡隆史社長は「産業印刷領域は、HPにとっても非常に大事な領域であり、成長分野である。大判プリンターから、システム全体で100メートルの10億円を超えるデジタル輪転機までラインアップを広げて事業を行なっている。日本HPは紙に関わる製品、テクノロジーをこれからも強化していく」と語る。
IGAS 2018では、日本で初めて、ロールおよびリジット(ボード素材)に対応したハイブリッドプリンター「HP Latex R2000 Plus プリンター」を展示した。最大50mmまでのスチレンボードや発泡塩ビ、厚紙、プラスチック段ボール、プラスック板、アルミニウム、木、ガラスなど、さまざまな素材に印刷が可能であり、水性インクにより、見た目や素材感をそのままに、無臭で印刷できる。ここでもデシタル印刷の可能性をさらに広げてみせた。
ペーパーレス化などの動きが見られるデジタル時代に「紙」を切り口に、新たな価値を提案するのが日本HPの産業印刷事業の基本姿勢となる。
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