インテルが5Gに力を入れる理由の建前は
省電力性と新ビジネスの可能性
では2つ目の「なぜ(インテルを含む)多くのメーカーが5Gに突っ走ってるのか?」についてだ。これは建前と本音の2つに分けて説明したい。
まず建前編。ユーザーにとってみれば、より広帯域のサービスが利用できることになる。たとえば最大1Gbpsといっても、実際には1つの基地局にユーザーが100人ぶら下がっている場所では、実際には10Mbps程度で頭打ちかもしれない。
同じ状況であればこれまで10Mbpsにも達せずに3~4Mbpsだったはずで、確実に速度が上がると期待できる。逆に3~4Mbpsで良ければ、1つの基地局に300人ががぶら下がれる計算になる。通勤中の駅や列車の中で「アンテナピクトでは電波来てるのだけど、データが流れてこない」という状況は確実に改善されることになる。
価格に関して言えば、これは通信事業者側の思惑の比重が大きいので、なんとも言いがたい(一般論として出始めの時期はプレミアを付けるケースが多いので、安くはならないと思われる)。
しかし、技術的な観点で言えば5Gでは省電力性に配慮した規格になっており、特に基地局やアンテナ部の消費電力は、4.5Gまでの世代に比べると「同じデータ量を送受信するのであれば」減ることになっている。
通信事業者にとって、最終的に通信サービスの原価は電気代に帰着するので、理論上はコストが減ることになる。もちろん、その分大量にデータを送受信するようになると、電気代に差はなくなるのだが。
ちなみにこれはユーザーにも言えることで、同じデータ量を送受信する限り、従来世代よりも消費電力が減る分、バッテリー寿命が延びることになる。もっともこれも同じで、その分送受信データ量を増やしてしまうと元の木阿弥である。
通信事業者からすると、5Gは新たなビジネスを提供できる機会でもある。最近ではConnected Car(常時ネットワークに接続された車)の話題が増えつつある。
電波が届かないような郊外はともかくとして、都市部ではこのConnected Carを利用してさまざまなロードサービス(渋滞情報や駐車場情報の提供など)のみならず、もっと積極的に安全運転に向けたサービスや自動運転に向けた取り組みをしようという話題が出ている。
問題はこれを既存のネットワークで実現しようとすると、特に通信の遅延が問題になってきやすい。5Gでは低遅延なネットワークを実現可能であり、こうした新しい取り組みに対応できることになる。
この低遅延というのは単に自動車のみならず、たとえば建築機械の遠隔操作や遠隔地での(手術を含む)リモート医療など、さまざなな応用が考えられている。こうした新しいサービスを提供できるというのは、当然ながら新しいビジネスが立ち上がるという意味でもある。

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