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小島寛明の仮想通貨&ブロックチェーンニュース解説 第3回

漫画村問題でブロックチェーンが注目される理由

2018年07月09日 09時00分更新

文● 小島寛明

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●ブロックチェーンで悪循環が断てる可能性

 商品としてのマンガの流通を考えるときに、ブロックチェーンを利用する強みがいくつかある。

 ひとつめの強みは、「データの移転」だ。

 よくメールを例として説明されるが、メールは、送信した人の元にデータが残り、受信した人の元には届くのはコピーだ。送信のプロセスであちこちのサーバーにもデータが残る。

 ブロックチェーンの場合は、送信した人の元にも、経由するサーバーにもデータが残らず、受信する人の手元に移転する。仮想通貨が「通貨」に似たものとして機能するうえでも、この機能は必須だ。コピーし放題なら、みんな大金持ちになれてしまうからだ。

 もうひとつの強みは、中央に管理者を置かなくても、取引できる点だ。

 マンガの流通への応用を考えると、中央に管理者がいなければ、無名のマンガ家が直接読者に作品を売り、仮想通貨で対価を受け取ることができる。

 中長期的には、データが移転するブロックチェーンの仕組みを活用すれば、コピーできない形態でネット上でマンガが流通していく仕組みも実現できるかもしれない。

 

筆者──小島寛明

1975年生まれ、上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。2000年に朝日新聞社に入社、社会部記者を経て、2012年より開発コンサルティング会社に勤務し、モザンビークやラテンアメリカ、東北の被災地などで国際協力分野の技術協力プロジェクトや調査に従事した。2017年6月よりフリーランスの記者として活動している。取材のテーマは「テクノロジーと社会」「アフリカと日本」「東北」など。著書に『仮想通貨の新ルール』(ビジネスインサイダージャパン取材班との共著)。

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