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アスキー・ジャンク部リターンズ 第221回

変わらないことのよさがある:

「スーパーカップ チョコミント」に31歳の自分が見る希望

2018年06月15日 12時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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「明治エッセル スーパーカップ チョコミント」
明治
6月4日発売
購入価格140円
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2018/detail/20180531_02.html

チョコミントについていけないのではなく
時代の流れに取り残されつつあるのでは……

 チョコミントがほんとうに流行っている。たとえば、以前に別記事でも取り上げたのだが、森永乳業のアイス「チェリオ 覚醒チョコミント」のリリースによれば、近年のアイス市場においてはチョコミント味が伸長しているという。推計販売規模は2012年度と比較して2017年度はおよそ2倍、またバーアイス形状に絞るとおよそ2.4倍の伸びを見せているとのことだ。

 つまり、数字にもはっきりと現れるレベルで、チョコミントの人気が高まっていることになる。メーカー側も「#チョコミン党」なるハッシュタグ付きで新商品をPRしたり、「いま話題の!」という形容を公告に取り入れたりしている。筆者はチョコミント製品が好きなので何度も記事にしていたが、近ごろは新製品が多すぎて、もはやチェックが追いつかないレベルでさえある。

 あまりの流行に、まったく困ったものだ、最近の若いチョコミントは(?)……などとグチってしまいそうになる。しかし、それはあまりにもかっこ悪いというか、いい年をした大人のふるまいではない。

 いけない、反省しなくては、と考えたとき、ふと、自分がついていけないのはアイス事情だけではなく、世の中のすべてに対してではないかと思い始めた。チョコミントのネタだけではなく、IT事情、デジタル系の新製品、いやいや、世間の流れ全般に追いついていないのではと。

今回は、明治エッセル スーパーカップ チョコミントを食べる

 自分も31歳になり、そろそろ自分の限界を知るようになってきた。こう書くと、「いやいや、そんなことを言うのはまだ若いだろう」と思われるかもしれない。もちろん、いろいろなことをすべて諦めたわけではないが、できることが増えてくれば、できないことも理解するようになる。「おそらくこんなふうにはなれないだろうな」と何かを断念することも、自分より若い世代のセンスや能力に驚かされることもあったりする。

 一方で、歴戦のベテランかと言われると、それほどではないのもつらいところ。古くからのIT業界や編集部を知っている人たちにしてみれば、自分はほんとうにヒヨッコでしかない。若手ともベテランともいえない微妙な位置にいる中堅。そんな自分に何ができるのかと考えると、なかなか思いつかなかったりする。できること以上の仕事を自分にも周りにも求めてしまって、理想と現実のギャップに悩むこともある。

 飛び抜けたスキルがあるわけでもないし、業界随一の鋭い視点を持っているわけでもない。とはいえ、さすがにズブの素人ではないだろうし、それなりにやってきたことの積み上げもないこともない。まあ、ポジティブに考えれば、経験を積んできて、次のステップに進む段階といえなくもないか。

「ラクトアイス」という力強い6文字

341kcal。内容量200gなのでやや高カロリーかも

 とても古くからいるわけではないが、ある程度の実績がある。最新の存在ではないが、未だに根強い人気がある。そんなポジションがあるだろうか。そして、そうなれるだろうか。そんなことを考えて不安になり、少しだけ頭を冷やしたくなって手に取ったのが「明治エッセル スーパーカップ チョコミント」……だいぶ、前置きが長くなってしまった。

内フタ付きの変わらない風情

ペリペリーっと剥がすと、見慣れた顔が見えてくる

 「明治エッセル スーパーカップ」シリーズから2年ぶりの復活。さわやかな味わいをうたうミントアイスと、チョコチップのパリパリ食感が特徴。数あるシリーズのシーズンフレーバーの中でも、とくに再発売の要望が多いフレーバーだそうだ。

甘すぎないミント、普通のチョコチップ、それでいい

エッセルスーパーカップ特有のやや粘度があるアイス

 食べてみると、ついつい口元がゆるんでしまった。変わらない味というか、なつかしい味というか。みごとにチョコミントである。ちょっとわざとらしいミント感。少しチープでもあるチョコレート。でもバランスは決して悪くない。古き良き、といえばよいのか。懐古的に思われてしまうかもしれないが、やはりそう表現したくなる味だ。

 明治エッセルスーパーカップのちょっとねっとりした舌触りは、バニラだと気になることもあるのだが、すっとするミント味だとあまり気にならない。チョコチップの量がそれほど多くないのもキモで、甘すぎないアイスの中でときどき「パリッ」とした食感があるのがすてきだ。

 グルメ担当のナベコさんと、編集部でもチョコミントが好きな盛田さんにも食べてもらった。

ナベコさん

 ナベコさん「懐かしい味! スーッと染みるようなミントの爽快感はかなり強めでパンチがあります。いちばん最初に食べた子供のとき、たぶん『わっ』とびっくりしてしまったような覚えが……ミントの後にチョコレートが続くのがキモでして、甘めのパリパリ食感がミントの異質感をまとめてくれます。チョコがややチープめ味だからこそ、存在感が残ってミントとの相性がよいものと思います。パンチに重なるパンチ。あらためて食べると、バランスがよくてちょうどいい具合のチョコミントですね」

盛田さん

 盛田さん「甘めのアイス、強すぎないミント感、ぱりぱりのチョコチップ、これぞチョコミントのデファクトスタンダードという王道感。手ごろな価格で、入手がたやすく、1つ食べれば満足のたっぷり容量。昨今チョコミントは多様化してエントリー層向けの製品も多数出ていますが、エントリー層にこそエッセルを試してもらいたい気持ちです」

 流行があるとはいえ、変わらないことのよさもある。明治エッセルスーパーカップのアイスは(実はこまかくリニューアルしているのかもしれないけれど)、いつまでも変わらない。ちょっとねっとりしていて、とても上品というわけじゃないけれど、ややチープな味わいのチョコチップを受け止めるには、こうじゃないといけない。チョコミントはやはりチョコとミントのバランスが大事だと気づかせてくれる。

 等身大の自分、「自分はこういう存在なんだ」ということを忘れないサイズ。その上で、できることはきちんとやっておき、自分に合った仕事を見つけてきちんとこなせば、最古参ではなくても、まっさらなニューカマーでなくても、しっかり立ち位置を確保することは可能だ。

 30を過ぎた自分の有り様について考える上で、明治エッセルスーパーカップのチョコミントは、とても参考になる。こういう存在になれるかもしれないと希望を抱き、アイスを口に運び、もうひと頑張りしようという気分になるのだ。そんなアイスとして、(もちろんシーズンフレーバーなのではあるが)末永くカタログに残ってほしいと切に願う。


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