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琵琶湖のほとりでパナの強みを見た:

パナソニックエアコン工場見学ホコリすごかったですレポ

2018年05月15日 11時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●過重労働地獄

 つづいてはエアコンを休みなくひたすら動かしつづけて不具合が出ないか確認する信頼性試験です。エアコンからすればブラック企業ですね。

ずっと運転させられているエアコン

エアコンを酷使している人

 たとえば冷暖房をつけっぱなしにする耐久試験。エアコンの平均使用年数は約10年間ですが、さすがに10年かけて試験はできません。ではどうするかというと、

 「実際に市場で運転されたエアコンを回収して、圧縮機のメカの汚れや潤滑油の劣化度合いの相関をとり、数ヵ月間でも10年分の運転が検証できるという独自の検証方法を採用しています」

 という答え。なるほどー! 疑問解決ですっきりです。それでも数ヵ月は動きっぱなしになるのか……

市場で運転された圧縮機。妙にかっこいい

 試験では「実際の使用環境より厳しい条件で試験をする」というのがパナの原則だといい、たとえば自動お掃除機能のついたフィルターは1万6500回の動作確認をしているそうです。フィルター掃除は1日1回、10年間でも3650回なので無茶な回数です。同様にフィルター清浄機能「アクティブクリーンフィルター」は32万回。エアコンがかわいそうになりました。

ずっと動きつづけているエアコン

●塵芥地獄

 次がエアコンをホコリまみれにしてフィルターの性能を評価するホコリ試験室。

 衣服から出る繊維状のホコリ、ふとんの綿ぼこり、土ぼこり・砂ぼこり、キッチンにつきものの油分などをミックスさせた「ホコリミックス」を試験室内に浮遊させ、エアコンをホコリまみれにします。10年分に相当するホコリを浴びせられたエアコンは真っ黒に。哀れです。

左から繊維ホコリ、綿ぼこり、土ぼこり・砂ぼこり、油分になります

 「どんなホコリで試験をすればいいかを考え、全国107件のエアコンフィルターを集めて『ホコリレシピ』を作りました。さまざまなホコリの種類を組み合わせたもので、実際の生活環境からレシピを作っています」との説明でした。

全国107件のフィルターを集めてホコリを解析した結果が上のミックスに

 ホコリまみれになったフィルターは自動掃除でどれくらいキレイにるのでしょうか。確認にあたって工業会基準「風量低下5%未満」だけだと消費者が実感できないということでパナは自主基準の光透過度測定方式を採用しています。フィルターに下から光をあてたとき一定の照度(ルクス)を保てればOKという基準で、ホコリで真っ黒のフィルターを見せられると確かに説得力がありました。

人呼んで「ホコリのプロ」である担当者さん

 なおホコリ試験はパナ独自のホコリ発生機が手作り感満載で爆笑したのですが、残念ながら社外秘ということで描写できませんでした。ご想像ください。

●極寒地獄

 次がマイナス25℃のような過酷な環境でも正常にエアコンの霜取運転が動作するか試験する低温試験室。試験室にはつららができていました。寒い。

つららがたれさがっておりますね

「極寒冷地を想定した温度湿度」サラッと言う

 パナソニックのエアコンはコンプレッサーの廃熱をたくわえ霜取りに使うことで霜取中も暖房をとめない「エネチャージシステム」をそなえています。コンプレッサーのアルミ蓄熱槽や内部の液体をあたためて保温する、湯たんぽのようなしくみ。このシステムの動作確認をします。

コンプレッサーの廃熱を湯たんぽのようにたくわえて霜取に使う仕組み

 気温は約マイナス9℃まで冷えていました。低温室はマイナス30℃は下げられますが「実際マイナス30℃まで下げると逆に湿気が出なくて霜がつかない」ということでした。十分寒いです。わざわざ室外機が湿気をふくんだ風を吸いこみやすいような設置ということでかわいそうでした。

わざと室外機が冷気を浴びやすくしている。極悪

 ちなみに低温については試験室の試験だけではなく全国5ヵ所の室外機に小型カメラを設置してモニタリングもしているそうです。実際に雪が降っているところの影響はさまざまで試験室だけではわからないからだと。数メートル単位で雪が降る地域の事情も知りたいですね。

実際の寒冷地で室外機に小型カメラをセットして中継

映像は部品などの品質向上に活用しているそうです

●日射地獄

 最後は真夏の日差しを日射ライトで再現する環境試験室。また暑い部屋か……

ギラギラ人工太陽が窓辺を照らす

日差しに焼かれながら説明します

 日差しの変化を日射センサーでとらえ、温度を下げすぎないよう調整できるかたしかめます。試験したのは35℃の真夏日、熱電対ケーブルをたれさげまくった室温の変化を確認します。日射ライトは初めて体験しましたがアホほど暑いですね。

 しかし日射ライトをパツンと消すと、窓際に置かれたイスの背もたれ・ひざかけ・座面の温度が37℃から28℃までみるみる低下。一方室温は日射とは関係なく27℃。これが日射センサーの力です。人や物の位置を検知するセンサーものせており、これらが連動して動作します。

温度変化グラフ。日差しがかげると窓際の温度は下がるが(赤・青・緑)、室温は一定のまま(黄)

右下にある緑色が日射センサー

 ちなみに太陽と一般的な照明は見分けられるのかという質問については、

 「日照と照明は何千倍も照度が違いますのでそこはちゃんと見分けられます」

 ということでした。ルクス数がぜんぜんちがうのですね、そりゃそうか。

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