「Azure IoT Edge」のランタイムをオープンソース化
Build 2018開幕、エッジAIで進化した新Kinect「Project Kinect for Azure」発表
2018年05月08日 00時30分更新
マイクロソフトの年次開発者イベント「Build 2018」が、日本時間2018年5月8日0時、シアトルで開幕した。イベント開始に合わせて、Microsoft Azureから新サービスが多数発表された。特に、IoTデバイスにクラウドAIの機能を実装する「インテリジェントエッジ」関連で、大きな進捗があった。
Azure IoT Edgeのランタイムをオープンソース化
マイクロソフトは、昨年のBuild 2017で「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」構想を発表し、IoTデバイスの存在するエッジ側でAIや機械学習の処理を行う「インテリジェントエッジ」を実現するためのサービスとして「Azure IoT Edge」を発表していた。Azure IoT Edgeは、IoTデバイスにIoT Edgeランタイムをインストールしておき、その上でDockerコンテナーとして実装されるAzure Machine LearningやAzure Stream Analyticsなどのモジュールを実行するものだ。
今回のBuild 2018では、まず、Azure IoT EdgeのIoT Edgeランタイムをオープンソース化することが発表された。これにより、開発者がランタイムを変更してエッジでアプリケーションをカスタマイズできるようになるとする。
また、Azure IoT Edgeで、Cognitive Servicesのカスタマイズ可能な画像認識API「Custom Vision」が利用できるようになった。クラウド接続なしに画像認識APIが利用できるようになり、特にドローンや産業機器などで活用が期待される。
これに併せて、マイクロソフトは米国ドローン開発最大手のDJI、およびQualcomm Technologiesとパートナーシップ締結を発表。DJIと共同で、Azure IoT EdgeとマイクロソフトAIサービスを実装した農業、建築、公共向けの商用ドローンを開発していく。また、QualcommとはカメラベースのIoTデバイスの共同開発をスタートすることをアナウンスした。このカメラデバイスは、Azure Machine LearningやCognitive ServicesなどのAzureテクノロジーをデバイス側にダウンロードできるという。
新デバイス「Project Kinect for Azure」発表
インテリジェントエッジ構想を推進する新しいデバイスとして、「Project Kinect for Azure」が発表された。マイクロソフトは8年前に、音声認識や画像認識のセンサーを搭載したデバイスKinectを出荷しているが、今回発表したProject Kinect for Azureは、Kinectが採用していたtime of flight(TOF)方式の深度カメラに加え、各種センサー、エッジAIを実行するための組み込みコンピュータを搭載。Azure IoT Edgeを使って、Azure Machine LearningやCognitive Servicesのテクノロジーとセンサー技術を組み合わせて、新しいソリューションを生み出すためのデバイスだ。