アキバでパーツを買ってプロトタイプを制作してみる
キースイッチ3個とキーキャップ(キーボード1台分)は秋葉原で買って、本体は適当に身近にあったモノを削って作ってみた。
この時点で商品名は「Reboot Anytime」と決めた。そして、本体素材は手に持って優しい感じのシリコン製にしようと決めて、早速、デザイナーに入ってもらって3Dのイメージを作ってもらった。
同時に数多くのキースイッチをキーボード屋や秋葉原のパーツショップから入手し、何度も付け替えて採用キースイッチの選抜作業に入った。
手作り初代プロト(左)と3Dプリンターモデル(中央)、最初のシリコンモデル(右)の3つを使ってキースイッチやステンレス製のキースイッチベースのテストを重ねた
その後は、3Dプリンターで最初のプロトモデルを作り、シリコン製本体の最初のテスト製造となった。初期のシリコン製ボディーに、レーザーカットした厚さ0.7mmのステンレスベースをはめ込み、キースイッチを3個取り付け、キーキャップ取り付けて何度も何度もテストした。
その後、シリコンは2度改善変更。1度は素材がやわらかすぎたので補強して肉厚に改善。そしてステンレス製のキースイッチベースが0.7㎜では、何度もカチャカチャと遊んでいると、時に力が入り過ぎて曲ってしまうことがあったので、一気に2倍の厚さの1.5mmに強化。これでまったく何をしてもたわむことのない頑丈なベースとなった。
ステンレス以外の素材もテストした。左からカーボン、チタン、2㎜厚の鉄板。チタンは極めて魅力的だったが、価格がそれを超えている
キースイッチベースのステンレス板が2倍に厚くなったので、シリコン本体内側の溝も拡張、同時に、真っ白のシリコン材ではなく、1981年当時のIBM PCやその後、登場したIBM PC/ATのようなちょっとくすんだオフホワイトに変更した。
キースイッチを取り付けるステンレスベースは、キーを最後まで押した時の底打ち時の指先感覚と音に大きく影響するので、ステンレス素材以外のベースをその道の超プロの友人たちの力を借りて作ってみた。
選んだ素材はチタンとカーボン、それと2mm厚の超重厚な鉄板。いずれも一長一短はあり、個人的にはチタンが印象に残っているが、とてもコスト的には見合わない感じだった。
筆者が個人的に出張などで愛用しているコンパクトなキーボードもチェリーの「青軸」だったこともあり、心はどんどん青軸に傾いていった
改善のためにシリコンが替わる都度、キースイッチベースが替わる都度、さまざまなチェリー製MXメカニカルキースイッチを取り替えてテストの毎日だった。
最終的に、我々が選択したのは、チェリーMXキースイッチの「青軸」。一番最初の印象が、最後まで続いた感じだった。
文字入力するための本当のキーボードを選ぶのなら別の選択肢もあるが、人生や生活をリブートするハートに刺激を与えるキースイッチは青軸以外は見当たらなかった。
指先に感じるタクタイル感、その時に耳に届くサウンドフィードバック、いずれも青軸が優秀だった。
唯一、青軸より使ってみたいと思ったのは、すでに製造、販売とも終了している工業用の緑軸だった。しかし、入手の難しさに加えて青軸の2~3倍のパーツコストは対象外だった。
結局、筆者が青軸を選択したのは、自分が普段使っているキーボードの影響が大きかった。
そして2017年12月末に、Reboot Anytimeの最終スペックは決定され、青軸キースイッチを発注。シリコンも3回目の改善をして最終発注となった。

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