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春のヘッドフォン/イヤフォン買い替え計画 第3回

別次元の高音質化 合計約4万円からのイヤフォンバランス接続入門

2018年04月04日 12時00分更新

文● 鳥居一豊、編集●ハシモト/ASCII編集部

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バランス接続にすると、音場が広がり空間の再現も明瞭に

SE-CH5BLの接続イメージ。コードを耳に引っかけるタイプの装着方法となっている

SE-CH5BLの接続イメージ。コードを耳に引っかけるタイプの装着方法となっている

 まずはXDP-20をステレオミニ端子で接続して、一般的なアンバランス接続で聴いてみたが、音の情報量も十分に豊かで、低音域の力感も含めてなかなかよくできていると感じた。

 音質的には中低域が充実した力強い鳴り方をするタイプだが、パワー重視のバランスというわけでなく、しっとりとしたバラードや落ち着いた室内楽などを聴いても不自然さのない気持ちのよい音を楽しめるバランスになっている。

 続いて、SE-CH5BLを使ってバランス接続で聴いてみた。バランス接続モードでは、一般的なバランス接続(BTL駆動)と「ACG(アクティブコントロールGND)駆動」を選択できるが、ここではまず、BTL駆動としている。

 アンバランス接続でもなかなかできのよい音だと思ったが、バランス接続にすると音場が豊かに広がり、ボーカルの定位もしっかりと出る。

 まさにステージ感や空間の再現が明瞭に感じられる音になる。エントリークラスのプレーヤーとしてはかなりのレベルの音だと感じる。

 ステージが広く、音の粒立ちも良好になるなど、情報量が豊かに出る再現だが、音が漠然と広がってしまうのではなく、個々の音のエネルギー感もしっかりとしているので、音が薄まった感じにならず、前後の奥行き感も含めて立体的な音になる。

 続いて「ACG(アクティブコントロールGND)駆動」も試してみた。これは、左右の信号をそれぞれ2個のアンプでプラスとマイナスを独立して増幅するのではなく、左右それぞれ1個のアンプでグランド電流の制御に使う方法。グランド電流を安定化することにより、より自然な再生が可能になる方式だ。

 こちらで聴くと、音の広がりや個々の音のパワー感はやや控えめに感じるが、音の定位が実に自然になり、実体感のある生々しい再現になる。アコースティックな楽器の演奏では、ボーカルと楽器の位置関係が明瞭になるなど、臨場感が豊かだ。

 音のステージの雄大さやパワフルさではBTL駆動が好ましいし、ライブ的な臨場感や音の自然さをを重視するならACG駆動が好ましい。

 曲や好みによって使い分ければいいものだが、バランス接続のさまざまな楽しみ方をエントリークラスでもしっかりと楽しめるのはうれしいだろう。

音質にこだわる人ならぜひとも体験してほしい

 バランス接続は接続端子の問題など、少々マニアックな面もあるが、ヘッドフォンでの再生を高音質で楽しむには有効なもの。

 これがいよいよ身近な価格のモデルでも楽しめるようになってきた。これまでは比較的高価なモデルだけの楽しみだったので、音が良くなって当然とも思われがちだったが、こうした価格帯のモデルで試すと、安価なモデルだと「1クラス上の音に化ける!」と言いたくなるくらいに音の再現力が向上する。

 残念ながら、スマートフォンではオンキヨーの「GRANBEAT」シリーズぐらいしかバランス接続に対応した製品が思いつかないが、ヘッドフォンのグレードアップに合わせて、再生プレーヤーもスマホから専用の音楽プレーヤーを試してみようというならば、ぜひともバランス接続を検討してほしい。

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