ヘッドホンやウォークマンを中心にハイレゾ対応の新製品を一挙に発表したソニー。前回はその概要を紹介したが、特集第2回ではオーバーヘッド型モデルを音の実力をレポートしていく。
最上位モデルの実力は!
巨大ドライバー採用の「MDR-Z7」
さっそく最上位モデルのMDR-Z7(10月18日発売 実売予想価格6万円前後)からスタートしよう。
大口径の70mmドライバーを搭載するだけあって、大きめのハウジングはほぼ正円形状となる。着脱式の接続コードは左右独立となる。
ハウジングの表面はシボ加工のような表面処理が施され、ヘッドバンド部には本革を採用。落ち着いたマットな質感に仕上がっている。ハウジングを支えるハンガー類は堅牢な金属製で、こちらも光沢を抑えた塗装となる。
ぱっと見るとやや地味な印象だが、シンプルなデザインで質感の良さを活かした大人向けの意匠だ。
重さは約335gと標準よりもやや重めな部類だが、形状を新たにしたイヤーパッドの圧迫感は控えめで、耳の周り全体を柔らかくホールドする。ホールド感が心地いいこともあり、装着してしまえば重さはあまり感じない。これなら長時間の装着でも負担になることは少ないだろう。
まずは通常のアンバランス接続で、ハイレゾ音源を中心に聴いてみた。ジャズを聴くと、粒立ちのいい自然な鳴り方で、ギターやサックスといった演奏楽器の音色が厚みのある豊かな音で再現された。
粒立ちのよい明瞭な音はソニーのヘッドホンに共通する特徴だが、MDR-Z7はひと味違う。音のエッジを立てるような味付けを感じることがほとんどなく、実に自然な鳴り方で残響との溶け合う様子もきれいだ。それでいて各楽器の音が溶け合ってしまうのではなく、明瞭に分離している。このバランスが見事だ。
クラシックを聴くと、低音も弾力感のある自然な鳴り方となっていて、ことさらに重低音感やパワー感を主張しない。だが、コントラバスのような低音楽器では弦の鳴りに加えて胴が鳴っているようなボディー感がしっかりと出るし、ゆったりとした心地良い鳴り方ながら、決してゆるまず、反応もいい。絶妙なバランスのよさが最大の特徴と言える。
次ページへ続く、「兄弟モデルながらも音の傾向には少々違いがある「MDR-1A」」

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