2018年度はアプライアンス、SDS、コンサルティングなどに注力、新アプライアンス2機種も発表
「2020年にマルチクラウドデータ管理No.1を目指す」ベリタス
2018年03月30日 07時00分更新
ベリタステクノロジーズは2018年3月29日、4月から始まる2018年度(2019会計年度)に向けた国内事業戦略説明会を開催した。エンタープライズへのコンサルティング提案強化、SDS製品への注力などと並び、フォーカスポイントのひとつとして「アプライアンス製品」を挙げており、同日にはコンテナ技術採用の新しいNetBackupアプライアンス、SDS/スケールアウトNAS技術採用のアーカイブ向けアプライアンスの新製品2種も発表している。
2020年には売上を2倍にし「マルチクラウドのデータ管理No.1」へ
ベリタス日本法人 代表執行役員社長の大江克哉氏は、同社の現状と2020年に向けた目標、そのために注力していく4つの領域について説明した。
長年に渡ってデータ保護、データアーカイブ領域で強いポジションを持つベリタスだが、一昨年のシマンテックからの分社後、新たに「360度データ管理」のビジョンを掲げ、データ保護(バックアップ)/アーカイブだけでなく、より広範な「データ管理」のソリューションを展開してきた。データ可視化や事業継続(BCP)支援、SDSなど、分社後にリリースされた新たな領域の製品はすでに10を数える。
大江氏は、企業インフラ環境のマルチクラウド化が進み、データに占める非構造化データの割合が増大するなかでも、データの可視性やコンプライアンス、移行性、保護/活用といった360度データ管理を実現することがベリタスのミッションだと語る。
そのうえで大江氏は、3年後の2020年に向けた目標として、これまでの「データ保護ソフトNo.1」から「マルチクラウドのデータ管理No.1」へと歩を進めることを掲げた。具体的には、「データの保護と活用」「ストレージの最適化」「デジタルコンプライアンス対策」という3領域のソリューションを大きな柱として、「売上を現在(2017年度)の2倍にする」ことを目標とする。
そのための具体的施策として、大江氏は「エンタープライズ領域へのさらなるフォーカス」「OEMビジネスの強化」「アプライアンス/SDS/クラウド/コンサルティングの4領域に注力」の3点を挙げた。
エンタープライズ領域では、販売パートナーとの協業は従来どおり維持しながらも、ベリタス自身によるハイタッチでのソリューション提案や先進的事例開拓などを進める。またOEMビジネスでは、国内OEMパートナー3社(NEC、富士通、日立)との協業をさらに強化していく。今回新たにNECによるNetBackupアプライアンスの取り扱いがスタートしたほか、「富士通、日立とも、ストレージ領域で楽しみなプロジェクトが進行中」(大江氏)だと述べた。
アプライアンス/SDS/クラウド/コンサルティングの4領域への注力については、特にアプライアンスの販売拡大が「2020年のNo.1目標達成に向けた大きな柱になる」と説明した。グローバル、およびアジア圏では、ソフトウェアとアプライアンスの売上比率がおおむね1:1となっており、日本でもこの比率に近づけていく方針。
またテクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員の高井隆太氏は、アプライアンス/SDS/クラウド/コンサルティングの4領域に関する具体的な施策を紹介した。
SDS領域では2017年度に4つのソフトウェア製品をリリースしたほか、顧客の選択肢を増やす目的で、今回新たにSDS搭載のアプライアンスを発売する(詳しくは後述)。クラウド領域では、AWS、マイクロソフト、IBMなどとのグローバルアライアンスを国内でも強化すると同時に、特にSDS製品において、国内クラウドサービスプロバイダへの提案を強化する。コンサルティング領域は、エンタープライズビジネス拡大に向けて注力するもので、人員増強のほかGDPR対応などのアドバイザリー部門立ち上げなども計画している。
コンテナ技術でNetBackup環境を統合できる「Veritas Flexアプライアンス」発売
今回、アプライアンスの新製品として「Veritas Flex アプライアンス」および「Veritas Access アプライアンス」が発表された。いずれも4月2日より販売を開始する。
Veritas Flex アプライアンスは、コンテナ技術を採用し、NetBackup環境を構成する「マスタサーバ」と「メディアサーバ」、クラウドストレージに重複排除データを転送するゲートウェイ「NetBackup CloudCatalyst」の各コンポーネントを単一のアプライアンス上に混載できる新製品。マスタサーバの冗長化(HA化)など、必要に応じてコンポーネント構成を柔軟かつ短時間で変更できるのが特徴。
今回発売されたのは大規模環境向けの最上位モデル「Veritas Flex 5340アプライアンス」で、コンテナを格納するサーバーノードは冗長化(HA構成)されており、ストレージシェルフは最大4台まで拡張が可能。8TB HDDを採用した場合の最大容量は1920TB(1.9PB)となる。1編成で実装可能なコンテナ台数は、マスタサーバが最大3台(今後拡張予定)、メディアサーバーが最大6台、CloudCatalystは無制限(それぞれライセンスが必要)。
ベリタス バックアップリカバリアーキテクトの勝野雅巳氏は、従来のNetBackupアプライアンスでは、マスタサーバやメディアサーバ、CloudCatalystの役割が固定されていたため柔軟さに欠け、クラウドストレージも含め大規模環境を構成しようとすると複雑なものになっていたと説明。Flexではこうした複雑さを解消し、システム規模の成長に応じて迅速に実装できるとした。なお、マスタサーバの立ち上げ(設定とコンテナのプロビジョニング)にかかる時間は5分程度だという。
ユースケースとしては、ミッションクリティカルな運用が求められるペタバイトクラスの大規模バックアップ環境や、複数の既存バックアップ環境をマイグレーションにより統合し、運用コストを抑えるなどが考えられるとした。なお今後、中規模以下の環境に向けたモデルのリリースも検討していく。
なおFlex 5340アプライアンスの参考価格は「最小構成で6千数百万円」(勝野氏)。
もうひとつの新製品、Veritas Accessアプライアンスは、スケールアウトNASソフトウェアの「Veritas Access」を組み込んだアプライアンス製品。長期保存/バックアップアーカイブ向けにコストを最適化しており、NetBackupやクラウドストレージとの組み合わせによる自動階層化環境への適用や、既存のテープアーカイブの置き換えなどをターゲットとしている。1構成あたりの最大容量は2544TB(2.5PB)。
ソフトウェアとしても提供しているAcessのアプライアンス版を提供する理由について、高井氏は「『ハードウェアとセットですぐ使える』というニーズもあり、顧客のチョイス(選択肢)を増やす」ためだと述べた。