今後は、NECの取り組みに期待する
だが、その一方で、日本の企業の働き方改革への取り組みは、まだまだ進展していないと指摘する。
「若い経営者や女性経営者の企業は、積極的に働き方改革に取り組む例が多いが、伝統的な企業ほど働き方改革への取り組みが遅れている。大手企業の成功事例が10社ほど出てくると、日本の企業も、本格的に働き方改革に動き始めるのではない」と指摘する。そうしたなかで、ロバートソン社長が期待するのがNECの取り組みだ。
NECではWorkspace ONEを構成するAirWatchを導入。働き方改革の一環として、モバイルデバイスを活用した業務環境を取り入れており、現在、約1万人の社員が利用。今後、海外まで含めたグループ全体の業務環境として、約5万人にまで導入を拡大する予定だという。
「役員の方々からは承認フローが簡素化されたという声があがり、実際に私にスマホを見せて使い方を説明してくれるほど。こうした日本を代表する大手企業が率先して働き方改革に取り組み、成果が実感できるようになれば、働き方改革は加速するだろう」とする。
会社が社員を信用し、トップから文化を変える必要がある
では、働き方改革の取り組みにおいて、重要なポイントはなにか。
ロバートソン社長は、「もはや、技術の問題は解決している。エンタープライズクラスのアプリは、モバイルでもセキュアな環境で利用できるようになってきた。もちろん、労務的なルールの改革などの問題は解決する必要があるが、最も大切なのは、会社が社員を信用することである。トップから、文化を変えなくてはならない」と語る。
実は、ヴイエムウェアでは、Workspace ONEを活用した働き方改革において細かい数値管理をしていない。
正確には、社員がPCやモバイルデバイスでアプリを使用している時間をトラックしているというが、この狙いは「もしかしたら、働いていないのではないか」ということを管理するのではなく、「働きすぎていないか」を計測するためのものだと語る。
「家で、リモートワークをする際に、会社から管理されているような環境では、積極的に利用したいという気持ちにならない。会社に信用されているということが、家からのリモートワークを促進できるかどうかにつながる」とする。
そして、女性社員を倍増させ、新卒採用も5年目となり、外国人社員の登用も積極化していることにも触れる。
「優秀な社員を獲得するには、柔軟な働き方ができる環境が不可欠。働き方改革によって、新たな技術スキルを持った人が増えている」という。
ヴイエムウェアの売上げ構成比は、vSphereによるコンピューティングの仮想化ビジネスが3年前には7割を占めていたが、いまは4割未満になっている。その一方で、ネットワークの仮想化やソフトウェアディファインドストレージ、マルチクラウド、セキュリティーなどの新たなビジネスが拡大している。それに伴って、社員に求められるスキルも変化しており、それを実現する上で、働き方改革が貢献しているという。
「社員が幸せになれば、顧客が幸せになる。顧客が幸せになれば、ビジネスがよくなる」というのが、ロバートソン社長の基本的な考え方だ。
ヴイエムウェアの取り組みは売上げを拡大し、企業の事業構成を変え、優秀な社員を獲得するためにも働き方改革が不可欠であることを証明している。
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