(3) Ring Bus
共有バスとPoint-to-Pointの折衷案のような構造が、このRing Busである。
Ring Busの仕組み | ||||||
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メリット | 1本の共有バスでありながら、同時に複数のデバイスから送信可能。 デバイスの数を増やすのも容易。 |
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デメリット | デバイスの数を増やすと、それにあわせてレイテンシーもどんどん増えていく。 複数Ringを組み合わせるとさらにレイテンシーが増える。 |
ちなみに基本は上図のSingle Ringであるが、これだと隣り合ったデバイス同士でも方向によっては1周することになってしまうので、下図のように向きを変えた二重Ring方式を取るケースが非常に多い。
このRing Bus、古いところではIBMが開発したToken RingというNetworkの一種(IEEE 802.5として標準化されている)がこの形式であり、なにげにCPUでも広く使われている。
一番愛好しているのが言うまでもなくインテルで、Sandy Bridge以降のすべてのCPUで、CPUコア同士の接続にこのRing Busを使っているほか、古くはIBM/SCE/東芝の共同開発のCell Broadband Engineが、内部のPPE(PowerPC Processor Element)とSPE(Synergistic Processor Element)の接続にRing Busを採用している。
またCPU以外でも、AMD(というか、旧ATI)のR600(Radeon HD 2000シリーズ) GPUでも内部接続にRing Busを採用していた。また、コンピューター外に目を向ければ、JR東日本の山手線やJR西日本の大阪環状線などもこの二重のRing Busだし、他にも高速道路などでも採用例は多い。
インテル以外はあまり採用例がない
では素晴らしい方法なのか?というとこれは微妙である。そもそもインテル以外のメーカーは、現在ではほとんどRing Busを使っていない。たとえばAMDはZenでInfinity FabricをSoC内の接続に採用しているが、これは名前の通りFabric、つまりSwitchベースである。
実はインテル自身もRing Busを廃した例がある。Xeon Phiの前身であるLarrabeeは、Vector Engineを追加したP5コア16個を二重Ringにつなぐ方式で、Knights Cornerもこれを引き継いだが、後継のKnights Hillではこれを2次元Meshにする予定だった。予定、というのはKnights Hillそのものがキャンセルされてしまったからだ。
あるいはXeonについても、Broadwell世代までは下の画像左側のように2つの二重Ring BusをFIFOを介してつなぐ、というかなり無茶な構成になっていたのが、Skylake-SPから下の画像右側のように2次元Mesh構造に切り替えた。
もっとも切り替えたといってもこれはグローバルな話で、実際に詳細を見てみると、縦方向あるいは横方向同士の接続は、引き続きRing Busを使うという執念深さが見て取れる。
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