筆者はテレビが好きな方です。もちろんネットやケータイの世代に分類されるでしょうが、テレビは娯楽として好きです。
アメリカから日本のテレビ番組を見ようとすると、これまではケーブルテレビの日本チャンネルに契約する方法が最も早道でした。しかし自分が好きな番組が配信されてくるかわかりませんし、そもそも「コードカット」が進んで、ケーブルテレビの受信機すらなくなりつつある環境で、日本の番組への有効なアクセス手段ではなくなりつつあります。
「コードカット」とはアメリカの家庭で不可欠だった
ケーブルテレビの契約を辞める行為
「コードカット」とは、それまで米国の大抵の家庭がしていたケーブルテレビや衛星放送の契約を打ち切ることで、この言葉が登場した2010年当初は、80万人ほどと顕在化し始めました。調査会社eMarketerによると、2017年の米国の成人におけるコードカッターは2200万人にまで膨らんだといいます。向こう4年間で、ケーブルテレビや衛星放送の有料契約者数は10%下落する予測も立てられました(http://variety.com/2017/biz/news/cord-cutting-2017-estimates-cancel-cable-satellite-tv-1202556594/)。
代替となる映像を見る手段として考えられているのが、ネットストリーミングです。その代表格といえるNetflixは、2017年3月の段階で5090万契約を突破し、主要ケーブルテレビの契約者数4860万件を上回ったことが話題になりました。
単純に考えればケーブルテレビからNetflixに乗り換えが進んでいるのではないかと見ることができますが、Netflixのオリジナルコンテンツを見たくて、ケーブルテレビの契約を残しながらNetflixを利用するパターンもあり、世代間でも差がありそうです。
ケーブルテレビはたいていの場合、「バンドル」と呼ばれる多チャンネルのパッケージで提供されます。そのため、普段見ない大量の番組の分まで費用を負担しているような形になってしまいます。それが「無駄」と感じることで、ケーブルの契約をカットすることになります。
既存のケーブルテレビ視聴者にとっては、コードカットに至る段階があるようです。筆者は米国生活を始める際、英語をたくさん聞けるようにとケーブルテレビを契約しましたが、2015年についにコードカットに至りました。
しかし以前からケーブルテレビを見ていない人、パソコンやタブレット、スマートフォンが生活の中のスクリーンの主体となっている人は、ケーブルの契約に頼らず、最初からオンラインの映像手段に頼ることになるはずです。
コードカットとストリーミング
スポーツ番組をストリーミングだけで満たすことは困難
こちらでコードカットしてしまって困るのはスポーツ観戦です。多くのジャンルで、以前からの「放映権」による管理が続いているため、オンラインでスポーツイベントを楽しむ手段はほとんどありませんでした。
たとえば、リオ五輪でも米国チームが活躍(しそうな)試合が地上波で放映される以外は、ケーブルのスポーツチャンネルでの視聴となってしまいました。テレビ局のアプリはApple TVやスマートフォンなどに用意されていますが、実際の視聴にはケーブルテレビのアカウントでログインしなければなりません。
では、五輪開催の月だけでも料金を支払っても良いと思っていても、その手段が用意されていないのです。ケーブルテレビの契約を復活させないと、オリンピックを満足に楽しめない状態になっており、今年の平昌五輪でも同じような状況が続きそうな気がしています。
そのため、いまだストリーミングだけでは、日々の映像視聴のニーズを完全に満たすことができないのです。米国に来てオリンピックを夏・冬と4回目を迎えますが、まだまだストリーミングサービスの死角は大きいということです。
またストリーミングサービスも、1つだけ契約すれば済むか、といわれるとそうではありません。Netflixにないが、Huluでは配信されているコンテンツを見たい場合もあるからです。
幸いなことに、NetflixとHuluの双方を契約しても20ドル以下に収まり、100ドル取られていたケーブルテレビの料金に比べると十分割安です。同じ事が、HBO Nowなどのケーブルチャンネルのアプリでもいえます。ただ、どんどん契約していけば、結局ケーブルテレビと同じような料金になってしまうでしょう。
ストリーミングサービスが良いのは、簡単に排他処理ができることです。今月はNetflixで見たいドラマを一気に見る。翌月はNetflixをやめてHuluに入り、そちらのコンテンツを一気に見る。そんな方法を自由に採ることができる点もストリーミングの魅力かもしれません。
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