2018年になり、今年もスマートフォン業界は各社から続々と魅力的な新製品が出てくることでしょう。世界のモノヅクリの中心地とも言える中国・深センの電脳街も、スマートフォンや関連アクセサリで溢れかえっています。
ではこの深センでは各スマートフォンメーカーがどうやって自社製品をアピールしているのでしょうか。実は深セン電脳街には各社の最新モデルの広告をあちらこちらに見ることができるのです。その広告を見るだけでも各社の力の入れようがわかるというものです。2018年1月に、電脳街を歩き回って見てきました。
電脳街を歩いてすぐにわかるのが、OPPO(オッポ)の広告が多いこと。自社ショップの上や、大きい交差点に最新機種である「R11s」の広告を掲げています。この広告は今や中国だけではなく東南アジアなどでも流行りのスタイルで、現地の芸能人や著名人が端末を持って微笑みかけているというもの。OPPOのみならず他社も同様の広告展開を行なっています。
また、電脳街にはOPPOのフラッグシップストアもオープン予定で、現在工事中。その上の巨大なディスプレーには絶え間なくR11sの広告が流されています。OPPOの広告は地元タレントだけではなく、イメージとして西洋人のモデルも登場します。
そのOPPOを追いかけるVivoは、別の交差点に大きい広告を掲げています。やはりタレントが端末を持っている構図。中国ではスマートフォン以外の業界でも、似たようなイメージ戦略を採用しているところが多数あります。なお、この場所は電脳街を訪れる人の目によく止まるようで、Vivoの手前にはサムスン電子の広告も見えますね。
サムスン電子は2016年に中国国内で一気にシェアを下げてしまいました。中国ではミッドハイレンジでセルフィー強化の「C pro」シリーズの広告がよく見られました。しかしOPPO、Vivoと真っ向から対抗する製品でありながらも、広告の量では両者にはかないませんでした。そこで今はペン付きハイエンドという、他社にはない「Galaxy Note8」を改めてアピール。その広告を大きく出しています。
そして、2017年に快進撃をはたしたシャオミも広告を掲げています。シャオミもあえてハイエンドで大画面モデルの「Mi Mix 2」をイチオシにしているようです。もはや「安い」では誰も振り向いてくれません。OPPOなどとは異なり、端末だけを使った広告でハイスペックにこだわるイメージを消費者に植え付け、ブランド力アップを図っているようです。
さて、OPPOと中国国内で首位争いを繰り広げているファーウェイは、電脳街にフラッグシップストアがありますし、端末で勝負する広告を大きく掲げています。今は中国でもMate 10シリーズが一番の売り商品。
一方、オンラインブランドのオナー(honor)は、電脳街付近の道路のバス停に芸能人を使った広告を出しています。ターゲットユーザーがOPPOやVivoに近いことから、類似した広告を出しているのでしょう。またバス停の方がより消費者へのリーチが高いと判断してここに出しているわけです。深センは街中のあちこちのバス停で、オナーの広告をよく見かけます。
こうしてみると中国のスマートフォン市場を賑わすプレーヤーたちの広告は、各社ごとに異なる思惑で展開していることがわかったかと思います。
では最後にもう一社、忘れてはならないメーカーの広告を見てみましょう。それはアップル。電脳街には非正規の店舗は多いもののアップルストアは無く、広告も見当たりません。電脳街付近を捜すと、アップルはファーウェイ同様に一部のバス停に広告を出していました。
この広告はグローバルで同じものでしょう。シンプルで好印象を得られる広告ですよね。しかし中国トップ4社の広告と比べると、何かが物足りない気もしてしまいます。もちろんアップルのブランド力は中国でも絶大ですから、広告に頼らなくても消費者を引きつける力は十分あります。
とは言え、これからスマートフォンを本格的に使っていこうと考えている若い世代に、このイメージはどう映るのでしょうか? もしかしたら、いずれアップルも中国に特化した広告を出すかもしれません。深セン電脳街の広告ウォッチはこれからも続けていく予定です。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この連載の記事
-
第781回
スマホ
まだまだ生き残っているWikoのスマートフォン、2025年モデルを確認した -
第780回
スマホ
今度のアストンマーティンスマホは「タイヤ交換」のようなカメラ部のデザイン変更が面白い -
第779回
スマホ
深圳のOPPOストアで望遠レンズスマホを体験! 最新モデルを触ってきた -
第778回
スマホ
中国で折りたたみスマホ競争が激化、サムスンが高級モデル「W26」を発売 -
第777回
スマホ
エントリースマホが一変! HMD「Fusion」の機能性カバーが便利すぎたのでほかのスマホにもほしい -
第776回
スマホ
地下通路にズラリと並ぶ中古スマホ屋たち! 中国・重慶のスマホ市場のカオスっぷりが楽しい -
第775回
スマホ
「メイド・イン・サウジ」中東で作られたタフスマホをドバイで発見! -
第774回
スマホ
最新スマホをフライング展示、HONORのフラッグシップストアが深センに開業 -
第773回
スマホ
手のひらサイズの超小型端末「Qin K25」はキッズフォンを超えたAIスマホだ! -
第772回
スマホ
薄型スマホブーム到来、レノボやTECNOから製品が続々発表 -
第771回
スマホ
BALMUDA Phoneより小さい! HMD最新の小型端末「HMD Touch 4G」が驚異の軽量設計で登場 - この連載の一覧へ








