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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第12回

小型なのに高機能かつ高音質

ハイレゾ機の新定番、「AK70 MKII」は最上を気軽に持ち運べる (5/6)

2017年11月12日 12時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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Wi-Fi機能や連携性の高さも特徴になる

 最後にWi-Fi機能について。短期間の試用ではあまり気付かないのだが、Astell&Kernはファームウェアのアップデートを比較的高頻度で実施し、機能改善や新機能の追加をしている。特に第2世代の「AK240」以降は、AndroidベースとなりWi-Fi機能が利用できるため、その恩恵が大きい。

 AK240は2014年2月の発売だが、つい最近もアップデートがあり、最新の周辺機器(AK CD-RIPPER MKII)の利用が可能になっている。Wi-Fi接続ができる環境であれば、インターネットを通じて自動的にファームウェアの更新が通知される仕組みで分かりやすい。アップデート作業もファームウェアをPCでまずダウンロードして、ケーブル接続して更新するといった形ではなく、Wi-Fi経由のOTA(Over The Air)でほぼ自動で完了する。

 もちろんハードウェア上の制約で上位機ではできて、下位機種では使えない機能も存在するが、長期にわたって使い続けられる点はAKシリーズの魅力と言える。

 またAK Connectの機能も便利だ。NASなどに蓄えた音源をそのまま再生できるので、昔リッピングしてそのままにしていた音源をなんとなく聴きたくなった際、転送の手間なく気軽に再生できる。またニーズは少し限られるかもしれないが、プレーヤー自体もサーバーとしても機能するため、SP1000の本体メモリーにしか入れていない楽曲をAK70 MKIIなどほかのAstell&Kern製プレーヤーや、据え置きのネットワークオーディオから読み込んでスピーカーで再生するといったこともできる。

 厳密な比較には適さないが、AK70 MKIIとほかのプレーヤーの音の違いをちょっと確かめたいときに、いちいちメモリーカードを用意して抜き差しする手間がないのは嬉しい。

 USBデジタル出力で、USB DACに音を出力できる点も意外に役立つ点だ。

 PCなどで再生する場合、特にWindowsのDSD再生ではソフトやドライバーの準備もあるし、スピーカー再生用のオーディオシステムの近くにPCを設置するため電源やケーブルの取り回しをするのもひと苦労だったりする。AK70 MKIIであれば気軽に置けるし、必要なのもUSBケーブル1本だ。AK70 MKIIのプレーヤー本体でネイティブ再生できるのはPCMの場合192kHz/24bitまで。DSDも176kHz/24bitのPCMに変換しての再生となるが、USB経由の出力はそれぞれネイティブ。自宅では据え置きのDAC内蔵ヘッドフォンアンプを持っていてそれで聴く……といった人にもいいのではないか。

 こうした連携性の多彩さはAstell&Kernプレーヤーが培ってきた特徴でもある。同価格帯の他社製品ではWi-Fi機能を省略していたり、USBデジタル出力を持たなかったりする場合も多いので、AK70 MKIIを導入する利点のひとつとして紹介しておきたい。

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